2006年05月06日

InterBook絶版センター

ときどきInterBook絶版センターの新着情報で高額文庫本をチェックしているのですが,5月分では,新潮文庫の「北ホテル」(ウジェーヌ・ダビ)4千円,「汝の隣人を愛せ上下揃い」(レマルク )5千円,「戀する女たち 上中下全3巻揃い」7千円,角川文庫「夜はやさし上下揃い」(フィッツジェラルド)4千円,「ベートーヴェンの交響曲」(ベルリオーズ)5千円,岩波文庫「世間胸算用」5千円,「偐紫田舎源氏上中下全3巻揃い」5千円,「今昔物語集本朝篇全5巻揃い」5千円といったところが並んでいます。
戦前の菊半裁判を岩波文庫(創刊版)と呼んでいるのが馴染めないのと,もともとカバーのない旧岩波文庫をいちいちカバーなしとしているのは誤解されるんじゃないかと思いますが,ちょっと面白い絶版本が並んでいるので,一読あれ。
posted by 南野靖一郎 at 08:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 2006年

2006年05月05日

「ラピタ」6月号

6日発売予定の雑誌「ラピタ」6月号。昨年の黄色い万年筆「ミニ檸檬」に続き,「赤と黒」万年筆が付録となっています。
あちこちのサイトで,もう手に入れたよ,という報告があったので,近所の文教堂に聞いてみましたが,明日発売で未入荷です・・・との答え。ホントにGW真っ最中の明日朝早く配送屋がくるんだろうな,見張ってるぞ!と言いたいところですが,まあフライングはよくないし,待つのも楽しみのうちということで。
posted by 南野靖一郎 at 16:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 2006年

2006年05月03日

曖昧の七つの型(エンプソン)

曖昧の七つの型 (上)岩波文庫の新刊「曖昧の七つの型」(上)(エンプソン,岩崎宗治訳)を読む。
著者エンプソンは,1906年英国生まれ。ケンブリッジで数学と文学を学び,1931年来日。戦前の文理大,東大で教えた後,37年北京大学に招聘されたが,日中戦争が激しくなり,中国南部で避難生活を送った。戦後も再び北京に赴き,中華人民共和国の誕生も目撃した。
本書は,「一つの表現に対して幾つかの可能な反応の余地があるとき,言葉の持つそのようなニュアンス」を曖昧ambiguityと呼び,その曖昧にこそ詩の美しさがあるという主張を表したもの。(上)では,1〜3の型を論じる。
第1の型は,一つの言葉や文章の構造が同時に幾つかの意味を持つことによる効果。第2は,複数の意味が一つの意味の中に集約される効果,第3は寓意のように直接関係のなさそうな2つの意味が同時に与えられている効果。それぞれシェイクスピアなどから例を挙げて説明されているから,落ち着いて読んでいけばそれなりにわかるのだが,読みやすくはないので,なかなか読み続けるのに根気がいる。
本書は1985年研究社出版より同訳者により刊行されており,現在絶版。
posted by 南野靖一郎 at 16:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 2006年

2006年05月01日

「HJ文庫」創刊

HJ文庫,7月1日創刊!
といわれても,HJて何ですか? これがなんと,ホビージャパンなのです。ホビージャパンという雑誌は知っているけれど,文庫本を出すとは思わなかったでしょう。
創刊の挨拶としては,『ジャンル,新旧に捕らわれない,おもしろい物語を世に送り出したい!! そんな想いを込めて,株式会社ホビージャパンは文庫レーベル「HJ文庫」を創刊します。現代社会から架空世界,学園ラブコメからハイファンタジーまで,さまざまな舞台の上で紡がれる,胸おどるような物語をお届けします! 第1弾タイトルの発売は7月1日。以降毎月1日に、5〜6作ずつの刊行予定となっています』ということで,要はライトノベルの新顔ですね。
そのあとが面白くて,『「気軽に読める」ための構造がより特化し,逆にオタク文化のルールを踏まえていないと読めないもの,一般小説とは別の読み物としての「ライトノベル」という呼び方が定着しつつあります(そうなんですか)。しかし,世の中では古典的なファンタジーの記号である,エルフやドワーフといった種族がその中の一種族にすぎない「人間」と冒険を繰り広げたり,魔法学校の少年が成長する物語が受け入れられています。世界の中心で叫ぼうとも,宇宙の彼方で叫ぼうとも「愛」は「愛」です。私たちは,良い意味での「手に取りやすさ」を追求した上での,普遍的な面白さを発信してゆきたいと考え,ここにHJ文庫を創刊することにいたしました』。
とりあえず,意気込みや良し。私には縁がなさそうですが。
posted by 南野靖一郎 at 16:17| Comment(2) | TrackBack(0) | 2006年

「HJ文庫」創刊

HJ文庫,7月1日創刊!
といわれても,HJて何ですか? これがなんと,ホビージャパンなのです。ホビージャパンという雑誌は知っているけれど,文庫本を出すとは思わなかったでしょう。
創刊の挨拶としては,『ジャンル,新旧に捕らわれない,おもしろい物語を世に送り出したい!! そんな想いを込めて,株式会社ホビージャパンは文庫レーベル「HJ文庫」を創刊します。現代社会から架空世界,学園ラブコメからハイファンタジーまで,さまざまな舞台の上で紡がれる,胸おどるような物語をお届けします! 第1弾タイトルの発売は7月1日。以降毎月1日に、5〜6作ずつの刊行予定となっています』ということで,要はライトノベルの新顔ですね。
そのあとが面白くて,『「気軽に読める」ための構造がより特化し,逆にオタク文化のルールを踏まえていないと読めないもの,一般小説とは別の読み物としての「ライトノベル」という呼び方が定着しつつあります(そうなんですか)。しかし,世の中では古典的なファンタジーの記号である,エルフやドワーフといった種族がその中の一種族にすぎない「人間」と冒険を繰り広げたり,魔法学校の少年が成長する物語が受け入れられています。世界の中心で叫ぼうとも,宇宙の彼方で叫ぼうとも「愛」は「愛」です。私たちは,良い意味での「手に取りやすさ」を追求した上での,普遍的な面白さを発信してゆきたいと考え,ここにHJ文庫を創刊することにいたしました』。
とりあえず,意気込みや良し。私には縁がなさそうですが。
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ステーショナリーマガジン no.002

ステーショナリーマガジン (No.002)竅iえい)出版社の「ステーショナリーマガジン no.002」を読みました。
先日増殖した無印良品万年筆のせいで,私のペンケースは,モンブラン146(見せペン),パーカー51(傷だらけ),プラチナ・プライヤー(細書き用),無印×5本(手帳メモ用)という状態に。ボールペンはシステム手帳に差し込んだ非常用の3色ペンのみ,シャープペンはもちろん持ち歩かない。まあ,大人の選択というところですな・・・。
本当は自宅待機している各種万年筆やインク瓶も持ち運んでやりたいところですが,バカバカしいのでやめにしました。かわりに会社のデスクの上にカクテルインクを置いて撫でております。
ステーショナリーマガジン,「使いやすくて美しい文房具を楽しもう!」というテーマでこれが2冊目。懐かしい文具も特集されているので,眺めて楽しいのですが,電車で気軽に読めるよう,読み物中心で文庫化してくれると嬉しいですね。文房具の文庫本,久しく出ていませんから,『こだわりの万年筆』なんて文庫化してくれればすぐ買うのに(これは出版社違い・・・nekoでした)。
主な内容は,売れてる文具250選,復権!大人の鉛筆,昔ながらの文具コレクション,日々の暮らしを彩る和文具。ほかに,サクラ ボールサイン86色,「極細」大好き!,最新「ポスト・イット」,4Cボールペン芯を極める,といった企画があります。
posted by 南野靖一郎 at 13:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 2006年

当世書生気質(坪内逍遥)

当世書生気質GWまっただ中ではありますが,カレンダー通りに地道に仕事をしております。通勤電車もさほど空いているという感じがせず,私のように3日以上休むと不安で仕方がないという困った人間ばかりじゃないでしょうが,みなさん結構仕事好きなんですなホントに。
岩波文庫の新刊「当世書生気質」(坪内逍遥)が改版されました。旧版は昭和12年刊行。とはいっても,ついこの間まで書店で見かけたので,あまり久々の改版という感じはしませんね。
別段,中身が変わったわけでも無し・・・と思い一瞬躊躇しましたが,帰りの電車で急ぎ再読したかったため購入。やはりこれは面白い,読み始めたら止まりません。文章もくだけていて調子がよく取っつきやすいし,食べ物屋や遊郭,芸者との恋愛沙汰,やたら英語を使いたがるところなど,明治期の学生風俗,時代の趣味が巧く描かれています。いまの学生さんの生活と比べられるようなものではありませんけれど,昔の人は何かにつけて大人でしたな。
当時の学生生活に興味のある人にはもちろん,その後の文学に大きな影響を与えた「我が国最初の小説」という意味でも,一読をお奨めします。
posted by 南野靖一郎 at 08:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 2006年

2006年04月28日

黄金虫・アッシャー家の崩壊

黄金虫・アッシャー家の崩壊―他九篇岩波文庫の新刊「黄金虫・アッシャー家の崩壊 他九篇」(ポオ,八木敏雄訳)を読みました。有名な表題作のほか,「メッツェンガーシュタイン」など初期の作品も収めています。
「黄金虫」は,19世紀中頃の作。今となってはシンプルな冒険,暗号解読小説ですが,子供のころに読んだときのワクワクした感じがよみがえってきて,楽しめました。この暗号については,はまぐりの数学で説明されている通りです。
岩波文庫所収のポオ小説としては,「モルグ街の殺人事件 盗まれた手紙 他1篇」,「黒猫 他5篇」のほか,改版された「黒猫 モルグ街の殺人事件」があるので混乱しますが,黄金虫・アッシャー家の崩壊は初出です。まあ,読むだけなら,青空文庫で読めるわけですが。
posted by 南野靖一郎 at 08:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 2006年

2006年04月25日

「ダ・ヴィンチ・コード」を巡り角川書店が抗議文

角川書店が日書連と東京都書店商業組合に抗議文。
角川書店は4月18日,全国書店新聞が4月11日号1面で報じた記事に事実誤認があるとして,日書連と東京組合に文書で正式抗議した。記事は東京組合が組合員に対し,角川文庫『ダ・ヴィンチ・コード』の初版配本の調査結果を伝えたものだが,アンケートの分析方法や販売会社への確認作業に問題があると指摘した。このアンケート結果は,本紙を含む業界紙なども報じていた(新文化紙による)。
4月11日記事とは, 【『ダ・ヴィンチ・コード』文庫版,「初版配本ゼロ」が多数】と題し, 角川書店が3月10日,『ダ・ヴィンチ・コード』文庫版(上・中・下)(初版各60万部,合計180万部)の発行に当たって,書店223法人・4500店舗で責任販売制を20年ぶりに導入したことに対する書店へのアンケート調査を実施した結果を掲載。
その記事によると,各書店に「角川書店版”ダ・ヴィンチ・コード”文庫の初版配本調査」として上・中・下それぞれの初版配本部数を訊ねたところ,配本ゼロの書店が多数にのぼることが明らかになった。
配本部数ゼロの書店からは,「あきらめている」「角川のパターン配本はランク外のため注文のみ」「条件を平等に提示せず,特定の大型店にのみ配布しての半独占販売方式は平等の原理に反する」「お客様から多数の問い合わせがあり,版元に注文しても届かず,たいへん困っている」などの声があがっていた。
このため,同組合幹部は理事会当日の午前,書店会館に角川書店担当者を呼び,今回の経緯について話を聞いた。理事会では責任販売制や情報開示のあり方など様々な問題について議論を深め,今後の方針をとりまとめていくことで意見集約した,と伝えている。
posted by 南野靖一郎 at 08:11| Comment(2) | TrackBack(0) | 2006年

2006年04月24日

河鍋暁斎(コンドル)

河鍋暁斎岩波文庫の新刊「河鍋暁斎」(コンドル)を一気に読みました。
本書は,幕末明治期の絵師,河鍋暁斎に弟子入りしたコンドルが,自ら見た暁斎の画法の秘密を詳細に記録したもの。
暁斎は日本よりもむしろ欧米で早くから評価されており,来日した外国人との交流も多かったのですが,とくに建築家で絵画の腕も確かだった工部大学校のお雇い外国人教師コンドルによる本評伝は,8年間にわたり暁斎のもとで実作に励んだだけあって,暁斎研究の基礎資料として高く評価されています。
本書の前半は暁斎の生涯を概説した後,その画材や技法を作品に沿って解説。後半は作品解説(目録)で,これは現在でも鑑定資料として貴重なものとのこと。
技法の解説は,コンドルが『暁斎が目の前で描いた絵画について制作の手順方法などを記録した夥しい量にのぼるノートを作り,また描き進むに従って生ずる説明図,素描,下絵などをことごとく保存していた』というだけあって,臨場感あふれるもので,日本画に馴染みのない人でも暁斎の世界に引き込まれていくでしょう。
posted by 南野靖一郎 at 19:09| Comment(2) | TrackBack(0) | 2006年

2006年04月23日

新装「新赤版」

岩波新書の新装「新赤版」,書店に並んでいますな。今までのツルツルなカバーに替わるマットな感じの新カバーは,手触りがよく,私はこちらの方が好み。創刊以来のシンボル,ランプのカットは裏表紙に,保表紙右上には扉にあった風神が移ってきた。
これにあわせて「図書」4月号は,座談会「新書という可能性」 のほか,「新赤版この10冊」と題し,毛利 衛,森永卓郎,河合隼雄氏ら10名の書評を掲載。近くの書店で入手するか,岩波書店まで。
岩波新書の創刊の辞については,以前記した通りいろいろ事情があるのだが,これについて,研幾堂の日記に詳しく書かれているのを見つけた。
posted by 南野靖一郎 at 20:54| Comment(1) | TrackBack(0) | 2006年

2006年04月21日

無印良品のアルミ軸万年筆

mujifp.jpg万年筆のインクが色々たまってきたが,クルトゥールが古くなってきたので,そろそろ新しい普段使いのペンを・・・と思って,無印良品のアルミ軸万年筆を買ってきた。まとめて5本。ロットリングのコンバータも用意し,さっそくモンブランやパーカーなどいろいろ入れてみた。
ペン先はF(細字)となっているが,通常の国産のFよりも太く中字程度。外国製のFに近い(外国産らしいから当然かも)。フローが良くストレスがないので,会議のメモ取りには向いている。ロットリングのコンバーターとも問題が無く,個々のペン先のばらつきもあまりないようだ(というより,細かいことが気にならない気楽な書き味だ)。
キャップを本体の溝に差し込むという構造上の都合で,キャップの端にインクが付きやすく,指が汚れる場合がある,軸が細すぎて筆記時に落ち着かない感じがするなど,同じ廉価版万年筆クルトゥールに比べて気になる点はあるが,細身故ペンケースにもたくさん入るし,ひんやりしたアルミの感触は良いので,インク好きな方は1155円で試してみる価値はある。
bung!bung!bung!さんのところに詳しいレポートがあります。
posted by 南野靖一郎 at 12:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 2006年

2006年04月20日

小学館ライトノベル文庫

小学館では,2007年春に,ライトノベル文庫2シリーズを創刊する。
少年向けエンターテインメントの「ガガガ文庫」と少女向けファンタジーの「ルルル文庫」。
創刊を記念して,「ライトノベル大賞」を創設。「ガガガ文庫」「ルルル文庫」の2部門で,ティーン向けのエンターテインメント小説作品を募集する。条件は,ビジュアルが付くことを意識したエンターテインメント小説であれば,ファンタジー,ミステリー,恋愛,SFなどジャンルは問わず。商業的に未発表作品であること。
大賞受賞作は200万円+文庫化。締切は9月末日,発表は2007年3月下旬。応募要項は同賞公式サイトを参照。
ちなみに小学館発行の文庫シリーズとしては,激写文庫[B2判](1982年),こどもカラー文庫(1984),文庫判昭和の歴史(1988),パレット文庫(1991),スーパークエスト文庫(1992),新・激写文庫,キャンバス文庫(1993),コロコロ文庫[新書判](1994),小学館文庫(1997),小学館文庫の絵本(2002)がある。
posted by 南野靖一郎 at 18:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 2006年

小学館ライトノベル文庫

小学館では,2007年春に,ライトノベル文庫2シリーズを創刊する。
少年向けエンターテインメントの「ガガガ文庫」と少女向けファンタジーの「ルルル文庫」。
創刊を記念して,「ライトノベル大賞」を創設。「ガガガ文庫」「ルルル文庫」の2部門で,ティーン向けのエンターテインメント小説作品を募集する。条件は,ビジュアルが付くことを意識したエンターテインメント小説であれば,ファンタジー,ミステリー,恋愛,SFなどジャンルは問わず。商業的に未発表作品であること。
大賞受賞作は200万円+文庫化。締切は9月末日,発表は2007年3月下旬。応募要項は同賞公式サイトを参照。
ちなみに小学館発行の文庫シリーズとしては,激写文庫[B2判](1982年),こどもカラー文庫(1984),文庫判昭和の歴史(1988),パレット文庫(1991),スーパークエスト文庫(1992),新・激写文庫,キャンバス文庫(1993),コロコロ文庫[新書判](1994),小学館文庫(1997),小学館文庫の絵本(2002)がある。
posted by 南野靖一郎 at 18:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 2006年

2006年04月19日

岩波新書の歴史

岩波新書は,新赤版1000点突破記念として,4月に引き続き,5月も10点を刊行する。
なかでも,近代史家・鹿野政直「岩波新書の歴史 付・総目録1938〜2006」は,1938年の創刊から現在までの2500点を網羅したもの。
岩波新書の総目録には,1998年,60周年の際に出た「岩波新書を読む−ブックガイド+総目録」(岩波書店編集部)があるが,このときは,猿谷要,増田れい子,佐高信らによるテーマ別のブックガイドだった。
posted by 南野靖一郎 at 23:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 2006年

2006年04月18日

文庫本分冊の事情

ダ・ヴィンチ・コード(上) (角川文庫)
ダン・ブラウン
角川書店
売り上げランキング: 82953

ちまたで話題の「ダ・ヴィンチ・コード」。文庫版も大変な売れ行きらしい。

この「ダ・ヴィンチ・コード」について,Excite Bit コネタで,『単行本は上下巻の2冊なのに文庫本は上中下の3冊である。・・・なぜ同じ作品でも単行本と文庫本とでは冊数が違うのだろう』という疑問に出版社が答えている。それによると,『昔は単行本が上下2巻だったものを文庫本で1冊に合本するということもありましたが,現在では一般的に文庫本は売上面や流通上のことを考えて単行本よりも冊数が増える傾向にあります。文庫本は薄い方が手にとりやすく読みやすいですし,軽い方が持ち運びしやすいので小さくした方が好まれるんです。あと,人気の作品の場合は上下2冊よりも上中下と3冊並べる方が目立つので売上げが伸びるという効果もあります』とのこと。

ところで,販売当初はそれでよいのだろうが,一度品切れ絶版になると,分冊モノはなかなか見つけるのに苦労する。古書店などで,上・下巻など,何冊かに分冊されている文庫本の一つを見つけ,ポピュラーな書目だから片割れもすぐに見つかるだろうと高を括っていると,これがなかなか見つからないという経験のある人も多いだろう。岩波文庫の場合,途中でこけてしまった書目がたくさんあるから,「もともと無かった」ということにならないように,事前に調べる必要があることはもちろんだが,下巻だけあって上巻がどうしても見つからないときなど(いわゆる,後家さん),なんとも情けない気持ちになる。

分冊モノがなかなか見つからない原因の一つとして,すべての分冊が同じ部数印刷されているわけではなく,一般に「あとの方」になるほど発行部数が減っていくことが挙げられるだろう。たとえば,岩波文庫フェア「わが心の世界文学」のパンフレットには,書店向きのセット販売の案内があるのだが,ここに分冊ものの配本比率が示されている。そこには,唐詩選など3分冊ものは,(上)5冊(中)3冊(下)2冊の配本比率。嵐が丘など2分冊ものは,(上)5冊,(下)3冊。グリム童話5分冊は,(1)5冊,(2)3冊,(3)〜(5)2冊。モンテ・クリスト伯7分冊は,(1)5冊,(2)3冊,(3)〜(7)2冊,などと先細りの傾向が示されている。唐詩選はともかく,モンテ・クリスト伯を第1巻だけ読んで終わりにする,というのは考えられないが,実際の売れ行きを勘案すると,こんなものなのだろう。

これに関して,古い資料だが岩波書店「文庫」1958年3月号に,岩波自身が次のように記している。「昨年末から正月にかけて,「モンテ・クリスト伯」が巻数によって品切れになり,ご迷惑をおかけしました。営業部では,毎月末に棚卸しを行って,在庫部数を調べています。在庫1800点の毎月の出品部数は,書名が違うようにまちまちです。毎月数千部のものから,百部以下位しか需要のないものもあります。また,つづきものになりますと最初の巻とあとの巻では,出品部数が違ってきます。読者の方々の根気がわかって面白いものです。・・・たとえば,「源氏物語」の第一巻は初版以来15万売れましたが,最後の第五巻はその三分の一も売れたでしょうか。「戦争と平和」も第一巻の15万に対し第八巻はその三分の一といった状態です。この出品部数と在庫部数を睨み合わせて重版をしてゆくわけです。ところが,映画化されたり,舞台にかかったりして,急に出品部数がふえることがあります。「モンテ・クリスト伯」の突然の品切れは,ラジオのためのようでした。」
posted by 南野靖一郎 at 16:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 2006年

文庫本分冊の事情

ダ・ヴィンチ・コード(上) (角川文庫)
ダン・ブラウン
角川書店
売り上げランキング: 82953

ちまたで話題の「ダ・ヴィンチ・コード」。文庫版も大変な売れ行きらしい。

この「ダ・ヴィンチ・コード」について,Excite Bit コネタで,『単行本は上下巻の2冊なのに文庫本は上中下の3冊である。・・・なぜ同じ作品でも単行本と文庫本とでは冊数が違うのだろう』という疑問に出版社が答えている。それによると,『昔は単行本が上下2巻だったものを文庫本で1冊に合本するということもありましたが,現在では一般的に文庫本は売上面や流通上のことを考えて単行本よりも冊数が増える傾向にあります。文庫本は薄い方が手にとりやすく読みやすいですし,軽い方が持ち運びしやすいので小さくした方が好まれるんです。あと,人気の作品の場合は上下2冊よりも上中下と3冊並べる方が目立つので売上げが伸びるという効果もあります』とのこと。

ところで,販売当初はそれでよいのだろうが,一度品切れ絶版になると,分冊モノはなかなか見つけるのに苦労する。古書店などで,上・下巻など,何冊かに分冊されている文庫本の一つを見つけ,ポピュラーな書目だから片割れもすぐに見つかるだろうと高を括っていると,これがなかなか見つからないという経験のある人も多いだろう。岩波文庫の場合,途中でこけてしまった書目がたくさんあるから,「もともと無かった」ということにならないように,事前に調べる必要があることはもちろんだが,下巻だけあって上巻がどうしても見つからないときなど(いわゆる,後家さん),なんとも情けない気持ちになる。

分冊モノがなかなか見つからない原因の一つとして,すべての分冊が同じ部数印刷されているわけではなく,一般に「あとの方」になるほど発行部数が減っていくことが挙げられるだろう。たとえば,岩波文庫フェア「わが心の世界文学」のパンフレットには,書店向きのセット販売の案内があるのだが,ここに分冊ものの配本比率が示されている。そこには,唐詩選など3分冊ものは,(上)5冊(中)3冊(下)2冊の配本比率。嵐が丘など2分冊ものは,(上)5冊,(下)3冊。グリム童話5分冊は,(1)5冊,(2)3冊,(3)〜(5)2冊。モンテ・クリスト伯7分冊は,(1)5冊,(2)3冊,(3)〜(7)2冊,などと先細りの傾向が示されている。唐詩選はともかく,モンテ・クリスト伯を第1巻だけ読んで終わりにする,というのは考えられないが,実際の売れ行きを勘案すると,こんなものなのだろう。

これに関して,古い資料だが岩波書店「文庫」1958年3月号に,岩波自身が次のように記している。「昨年末から正月にかけて,「モンテ・クリスト伯」が巻数によって品切れになり,ご迷惑をおかけしました。営業部では,毎月末に棚卸しを行って,在庫部数を調べています。在庫1800点の毎月の出品部数は,書名が違うようにまちまちです。毎月数千部のものから,百部以下位しか需要のないものもあります。また,つづきものになりますと最初の巻とあとの巻では,出品部数が違ってきます。読者の方々の根気がわかって面白いものです。・・・たとえば,「源氏物語」の第一巻は初版以来15万売れましたが,最後の第五巻はその三分の一も売れたでしょうか。「戦争と平和」も第一巻の15万に対し第八巻はその三分の一といった状態です。この出品部数と在庫部数を睨み合わせて重版をしてゆくわけです。ところが,映画化されたり,舞台にかかったりして,急に出品部数がふえることがあります。「モンテ・クリスト伯」の突然の品切れは,ラジオのためのようでした。」
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2006年04月17日

ハーレクイン社「SP文庫」創刊

悲しみをとめて―テキサスの恋〈7〉 (ハーレクインSP文庫)
ハーレクイン社「SP文庫」創刊。
ハーレクイン社初の試みとして,日本人作家によるオリジナルの恋愛小説シリーズ。5月刊行の「恋のプリズム」は,ハーレクイン社主催「第1回ショート・ラブストーリー・コンテスト」受賞作品6篇を収める。
ちなみに,第2回ショート・ラブストーリー・コンテストは現在作品募集中で,大賞賞金30万円,入賞作品は短編集として出版される予定。第1回コンテスト」には全国より176通の応募があり,大賞1名,優秀賞5名が選出された。
posted by 南野靖一郎 at 05:13| Comment(2) | TrackBack(0) | 2006年

ハーレクイン社「SP文庫」創刊

悲しみをとめて―テキサスの恋〈7〉 (ハーレクインSP文庫)
ハーレクイン社「SP文庫」創刊。
ハーレクイン社初の試みとして,日本人作家によるオリジナルの恋愛小説シリーズ。5月刊行の「恋のプリズム」は,ハーレクイン社主催「第1回ショート・ラブストーリー・コンテスト」受賞作品6篇を収める。
ちなみに,第2回ショート・ラブストーリー・コンテストは現在作品募集中で,大賞賞金30万円,入賞作品は短編集として出版される予定。第1回コンテスト」には全国より176通の応募があり,大賞1名,優秀賞5名が選出された。
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2006年04月13日

不肖・宮嶋 金正日を狙え!

不肖・宮嶋 金正日を狙え!文春文庫の新刊「不肖・宮嶋 金正日を狙え!」(宮嶋茂樹)が相変わらず面白い。
2001年,2002年の2回,ロシアを訪問した金正日のスクープ写真を撮るべく,シベリアからモスクワへ。完全武装のロシア兵士と北朝鮮SPに取り囲まれながら,一瞬の隙を逃さず決死の撮影を敢行。ときにはロシアのおねえちゃんやおばちゃんのアパートに潜み,窓のわずかな隙間から遠くの金正日や喜び組にねらいをつける。
もちろん,世界をあっといわせるスクープをものにするには,度胸の良さだけではなく,たくさんの修羅場をくぐり抜けてきた著者の経験が必須。間近で見た金正日のナマの姿とは・・・。
金正日はガニ股,短足,ズル剥けとさんざんな言われようだが,並の北朝鮮本より,愛すべき独裁者金正日のことがよく分かる。おすすめ。
posted by 南野靖一郎 at 12:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 2006年