2004年09月27日

2004年9月

9月22〜27日


岩波文庫の新刊「お伽草子」(太宰 治)を読む。カチカチ山,浦島太郎,こぶとりじいさんなど,
よく知られた昔話を太宰流に読み解いていく。童話や昔話を深読みして,そこに秘められた意味を探る・・・というような本は,あまたあるが,
これはあくまで太宰流。「こぶとりじいさん」では,『この物語には,不正の事件は,ひとつも無かったのに,それでも不幸な人がでてしまった。
それは日常倫理では測れないことであり,性格の悲喜劇というものである』といい,「カチカチ山」は,
狸の背負った薪に火を付け大やけどを負わせた上に,芥子を刷り込み,最後は泥船で沈めてしまうというウサギの異常な仕打ちを,
37歳の中年狸に対する16歳の処女ウサギの残酷さであるとし,狸の『惚れたが悪いか』という無念の叫びに,中年男の悲哀を見る。
おもしろおかしく書かれてはいるが,執筆は昭和20年,空襲下の東京。直後,焼け出された太宰は,妻子とともに,
戦後没落することとなる津軽の生家へ逃げる。その切迫感が息苦しく感じられる本でもある。


 


9月21日


ツール・ド・フランスといっても,テレビで見た山岳道路を選手たちが喘ぎながら登るシーンを見て,
ヨーロッパでは自転車が人気あるんだなあといった程度の認識しかない私でも興味を持って読めたのが,「ツール100話−ツール・ド・
フランス100年の歴史」(安家達也)。このフランス一周の自転車レースがいかにして生まれたか,毎年毎年の優勝者をはじめ,
歴史の残る名勝負や事件を取り上げています。とくに初期のレースは,観客から毒入りのドリンクを渡されたり,
ライバルをけ落とすために道に鋲を撒いたり,めちゃくちゃではありますが,メーカーによるチーム戦となった現在とは異なり,
鉄人たちが競う個人競技としての熱気も感じられます。タイヤのホイール交換も認められなかったため,
スポークが折れた選手が自転車を担いで10キロ離れた鍛冶屋まで行き,自分でトンカン叩いて直してレースに復帰したこと,あまりに速すぎて,
中間地点で2位と1時間もの大差がついたので,途中のカフェに入りこんでワインなど飲み,みんなが通り過ぎるのを待ってやおら再スタートし,
それでも優勝したことなど,今では考えられないエピソードが多く,楽しめます。著者が日本人なのにもビックリ。


 


9月19〜20日


「自転車散歩の達人 The new fifties−黄金の濡れ落葉講座」(山川健一,講談社)を読みました。
こんな副題が付いていることには気がつかなかったけれど。ママチャリに乗りながら自転車の歴史や思想を語る著者。
どこかで読んだような文体だなぁと思ったら,「マッキントッシュ・ハイ」のひとでした。あくまで都会人のための自転車ガイドですが,
そこここに出てくる業界人的な見栄と自分で達人と書いてしまうセンスのなさがちょっと悲しい。類書が少ないので,
シティサイクルに興味のある方はどうぞ。


 


9月18日


ディスカウントストア「キムラヤ」が倒産。オヤジの109とか,新橋パルコとか言われた?新橋駅前店。営業は続けているようだが,
よく利用していただけに残念。ドンキホーテの進出等が響いたとも言われるが,やっぱりサラリーマンの景気がね。


 


9月13〜17日


京都から戻ってきました。えい文庫の新刊「下町純情カメラ」(大西みつぐ)と平凡社新書「素晴らしき自転車の旅」(白鳥和也)
の2冊を持って行きましたが,行きの新幹線で読了。乱歩を読まずにとっておけばよかった,などと思いつつも,幸い?
時間を潰さなければならないような機会もなく,疲れて眠りながら帰ってきました。大西氏の写真は,下町路地裏の情景を撮ったもので,
その普通さの中にある人々の織りなすドラマや写しこまれたディテールのおもしろさが特徴。正々堂々と,ありふれた写真を撮ることは,
ほんとうに難しい。白鳥氏の自転車本は,いわゆるサイクリング(最近ではツーリングか)の楽しみを説く一方,装備や走行上の留意点など,
実用的な知識も充実しており,自転車好きにとってはもう一度長距離を走ってみたいという気にさせてくれる本。最近では,
別にテント生活をしなくても,ビジネスホテルや旅館に泊まりながらのサイクリングも可能だし,著者も言うとおり,
旅先で泊まるかどうかがサイクリストとしての大きな経験の差になります。


 


9月10〜12日


休日はトンボ採りと「でんじゃらすじーさん」カードゲームのおつきあい。光文社文庫の江戸川乱歩全集の新刊「十字路」を読む。
本巻には,防空壕,大江戸怪物団,十字路,魔法博士,黄金豹,天空の魔人を収める。「十字路」は,『筋を立てるのに,
初期からの探偵作家クラブ会員渡辺剣次君に助力してもらった。作中の雄大なトリック,ダムの湖水の底に死体を隠す着想や,
新宿の十字路で二つの殺人事件が相交わるという着想は,渡辺君の創意によるものであった。渡辺君の立ててくれた筋を,
私に書きやすいように多少の変更を加えて,文章は私自身が書いた。したがって,これは半ば以上私の小説といっていいので,
全集にも入れることにした』と乱歩自身が言うとおり,プロットは借り物であり,それゆえ乱歩らしくない完成度の高さだが,
おどろおどろしいところはなく,舞台を現代に置き換えて,ドラマ化されたりもしている。今週いっぱい京都へ出張ですので,
持って行く新しい本を仕入れなくては。


 


9月7〜9日


岩波アクティブ新書「快適自転車ライフ」(疋田 智)を読む。自転車ツーキニストで知られる著者の4冊目の自転車本。
ママチャリに乗って冒険に出かけよう,こんなに奥が深いぞ自転車の世界,快適な自転車通勤と自転車生活のために,自転車と街と未来と,
といった内容で,一見,大人のための自転車再発見のススメだが,読みでがあるのは,欧米の自転車先進国と比較して,
我が国の貧しい自転車社会を語る後半。普段自転車に乗っている人なら,誰でも感じる不満を,
明快に行政の意識の問題として洗い出してくれている。放置自転車はなぜ増え続けるのか,
いくつかの自治体が実施した共用自転車制度はなぜ失敗したのか・・・お薦めです。


 


9月6日


岩波文庫の新刊「ギリシア恋愛小曲集」(中務哲郎訳)。古代ギリシャの恋物語4篇(クセノポン「パンテイアとアブラダタス」,
カッリマコス「アコンティオスとキュディッペ」,パルテニオス「恋の苦しみ」,ムーサイオス「ヘーローとレアンドロス」)を所収。
平易な訳だが,いかんせん,歴史に疎い人間には人間関係がピンとこない。ぼちぼちと注に頼りながら,結構楽しく読み進んでいます。


 


9月5日


二度の地震のせいではないでしょうが,我が家の前の電柱にあるトランスまわりが炎上し,消防車が来る騒ぎに。急に周辺に家が増えて,
継ぎ足し継ぎ足ししてきた電線のせいか,海からの塩害のせいかは,分かりませんが,物騒な話。


 


9月2〜4日


週末は海浜公園でトンボとり。黙って網を出してりゃ,勝手に入ってくれそうなほどたくさん飛んでいて,最初は捕まえた!
とご機嫌だった息子も,かごに入りきれないトンボを次々と小さい子に分けてあげることに。えい文庫の新刊「猫と写真の時間」(藤田一咲)
を読みました。既刊「ハッセルブラッドの時間」,「お茶と写真の時間」が好調とのことで第3弾。
日本と世界の街角で出会った猫を表情豊かに撮ったもの。たしかに,その国らしい猫の表情というのがあるんですね。最近,
猫の島として有名になった?我が江ノ島の猫たちも登場。著者の言うとおり,人間とノビノビ共生できるノラ猫は,平和のシンボルですな。


 


9月1日


「白鯨」の続きを読んでいます。捕鯨船と船乗り稼業についての記述が多く,古さを感じさせない迫力のある書きぶりなので,
読んでいると時代感覚が無くなってきますが,本書は日本が開国する直前,150年ほど前に書かれたもの。これまで,「白鯨」の翻訳は,
なかなか苦難の道を歩んできたようなので,今回は早期完結を望みたいところです。

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2004年08月31日

2004年8月

 












ジェイドU世整理しつつ。












(投稿日) 2004年08月21日


読んだ文庫を整理し、目録でチェックしているのですが、
改めて気付くことが出てきます。先ごろツルゲーネフ:『処女地』が重版となりましたが、
岩波文庫で現在入手可能な作品は、これだけのようです。『初恋』、『父と子』
は長くリストの中に入っていましたし、『ルーヂン』、『猟人日記』
は1998年に一括重版されたことがありましたね。
その他の作品はリクエスト復刊で出てくるぐらいですから、少し残念な気がします。秋の一括重版では、
どんな作品がラインナップされるのでしょうか。フェアも気になります。













深見俊介Re:整理しつつ。









(投稿日)
2004年08月23日



>秋の一括重版では、
どんな作品がラインナップされるのでしょうか。
フェアも気になります。



はじめまして。いつも楽しみに読ませて頂いております。


私も岩波文庫が大好きで、
毎日読んだり整理したり探したりを繰り返しております。
本日たまたま神保町へ行く機会があったので、
信山社に立ち寄ったところ、「岩波文庫の品切れフェア」
(?)のような事をやっていました。
何となく在庫を整理して並べたような感じがしました。
期間は今月中と書かれていました。

私も復刊を楽しみにしているのですが、以前、
このサイトでどなたかが書かれていた方法で、
URLを指定してみたところ、9月〜11月の予定が分かりました。




http://www.iwanami.co.jp/shinkan/repub/2004/09.html

http://www.iwanami.co.jp/shinkan/repub/2004/10.html

http://www.iwanami.co.jp/shinkan/repub/2004/11.html



くだらない書き込みですみません。今後ともよろしくお願い致します。















ねむいヤナイ@北海道美術ネットツルゲーネフ









(投稿日)
2004年08月27日
  HP


「猟人日記」
の自然描写の美しさは、ちょっとほかに例のないものだと思います。


ハラハラドキドキが好きな人はべつですが、
じっくり人間と自然を味わいたい人には、ぜひ読んでほしい本です。




















ダイナマイトキッド小説初心者









(投稿日) 2004年08月19日


映画で「ロードムービー」ってありますよね?


ああいう小説を探してるんですが、何か良い作品知りませんか?
















ジェイドU世支店を上手く利用して












(投稿日) 2004年08月10日


仕事帰りに、支店の一つに立ち寄ってみました。
そこで青帯の探索をしてみたところ、自分なりに掘り出し物が見つかりました。『異人について』、
『倫敦!倫敦?』の2点(いずれも品切れ中)を購入しました。また、ちまちまと寄ってみようかな。













富田 靖Re:支店を上手く利用して









(投稿日)
2004年08月10日



>仕事帰りに、
支店の一つに立ち寄ってみました。
そこで青帯の探索をしてみたところ、
自分なりに掘り出し物が見つかりました。『異人について』、『倫敦!
倫敦?』の2点(いずれも品切れ中)を購入しました。また、
ちまちまと寄ってみようかな。



すいません,暑さボケしています。支店というのは,何の支店ですか?
 山陽堂? ジェイドさんのお店?















ジェイドU世Re:支店を上手く利用して









(投稿日)
2004年08月11日



私が勤務する店舗の支店です。後、
タイトルも間違えていました。『異人その他』でした。



9月の新刊ですが、太宰の作品が続いてリリースされます。
またアップします。







 

posted by 南野靖一郎 at 11:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 2004年

2004年8月

8月27〜31日


最後の夏休み連休をとっていました。岩波文庫の新刊「白鯨」,他の文庫や岩波の旧版でも読んでいるし,ボリュームもあるので,
どうしようかと迷ったのですが,書店でぱらぱらめくってみて,当時の捕鯨船の構造図や,読みやすそうな訳文に惹かれ,
さっそく読み始めました。そして,以前読んだとき(の記憶)と随分印象が違うことに気がつきました。モビィ・
ディックとエイハブ船長との死闘という筋書きを追っているだけではなく,
そこに至る細かい状況描写を読む余裕が出てきたということでしょうか。本作は,メルヴィル32歳のときに書かれたもの。
メルヴィル自身の乗船経験が反映されているとはいうものの,これだけのスケールの大きな物語に仕立てた力にあらためて感心させられました。


 


8月26日


真実のようなフィクションが太宰なら,フィクションのような真実が有島,という組み合わせにしたというわけではないだろうが,
「小さき者へ・生れ出ずる悩み」は有島の苦悩が凄みを持ち,ストレートに伝わってくる。3人の幼い子供を残して妻が逝ったとき,
父として子供達に「お前たちの人生は既に暗いのだ,小さき者,不幸なものたちよ」と呼びかけるのは,随分残酷である。それは,
遠い将来彼らの奮起を促すというより,自らの責任を放棄した卑怯な態度にも感じられる。有島は高級官僚の父,基督教への信仰,農園改革など,
いずれにも立ち向かっては挫折し逃避し,最期はご存じの通りの心中だ。本書にも色濃く現れているそのような敗残の精神に,
世の父親は惹きつけられる。


 


8月24〜25日


岩波文庫の新刊2冊,有島武郎「小さき者へ・生れ出ずる悩み」と太宰治「津軽」を持って行った八戸への出張では,
思ったよりも時間が無く,「津軽」をようやく読み終えることができた。満員の通勤電車の方が,新幹線より読書に集中できるというのは,
あながち貧乏性というわけではなく,満員電車で密着している方が,かえって他人を意識しないで済むという都会人?の本性の現れですな。
本書は故郷への率直な思いが語られていて,太宰にしては数少ない読んでいて楽しい作品。もっとも,素直でない私は,
これが本当の太宰の気持ち,姿なのかと,常に疑いや不安を持って騙されまい!と力を入れて読んでいるので,意外に捗らなかったようだ
(そのあたりは長部氏の解説に詳しい)。次は,有島武郎で癒されよう。


 


8月20〜23日


日本洋書販売が青山ブックセンター本店と六本木店の営業を9月29日に再開するとのこと。 青山ブックセンターっていうのは,
「文化的な」ポップカルチャー&深夜営業というイメージだったが,そういう独特のムードに惹かれる人は少なくなった(あるいは,
わざわざ書店に足を運ばなくなった)と思うので,果たしてうまく再建出来るかどうか。かくいう私も,最近はずっとご無沙汰でした。
洋書は海外書店のWebで取り寄せればよいし・・・。


 


8月17〜19日


さて,みなさん夏休みをとられるのはいいのだが,編集の立場としては,進行が大幅に遅れるので苦しいところ。今月の岩波文庫新刊は,
「ギリシア恋愛小曲集」,有島武郎「小さき者へ・生れ出ずる悩み」,太宰治「津軽」,メルヴィル「白鯨」(上)。来週は,出張で青森へ行く。
「津軽」には,太宰が故郷の金木から進学のため青森に出るときのことが,『青森の中学校に入学試験を受けに行く時,それは,わづか三,
四時間の旅であつた筈なのに,私にとつては非常な大旅行の感じで・・・かねて少年雑誌で習ひ覚えてあつた東京弁を使ひました。
けれども宿に落ちつき,その宿の女中たちの言葉を聞くと,ここもやつぱり少年の生れ故郷と全く同じ,津軽弁でありましたので,
少年はすこし拍子抜けがしました。生れ故郷と,その小都会とは,十里も離れてゐないのでした』などと書かれている。
今では東京から青森まで3時間の旅なのだ。


 


8月16日


引き続き,光文社文庫乱歩全集より初期の長篇を読む。人気急上昇!だったものの,行き当たりばったりの雑誌連載スタートがひびいて,
途中で挫折したり,強引に結末を付けたりのいいかげんな初期の乱歩調が特徴。それでも,
これでもかと迫ってくる原色調の変態絵巻には魅力あり。子供の頃読んだら,結構興奮したかも・・・。


 


8月12〜15日


夏休みをとって,箱根へ行ってきました。温泉でのんびり,というつもりでしたが,深夜までのオリンピック観戦で,
休んだような休まなかったような・・・。相変わらず「パノラマ島綺譚」所収の作品を読んでいます。講談社が11月で「ホットドッグ・プレス」
と「マイン」の休刊を決定とのこと。最近はご無沙汰でしたが,学生時代から親しんだHDPの休刊は寂しいですな。「ホットドッグ・プレス」
は79年の創刊。ファッションや女性との交際術などを取り上げ,80年代には「ポパイ」と並ぶ人気雑誌だったが,その後部数が減少。
2年前にいったん休刊し,誌面を刷新してリニューアル創刊したが,部数を回復できなかったとのこと。


 


8月9〜11日


通勤電車も少し空いてきましたね。これだけ暑いと読書の気力が失われますが,ちょうど光文社文庫江戸川乱歩全集の新刊
「パノラマ島綺譚」が出たので読んでいます。懐かしいですな。なにか,天知 茂の顔も浮かんできます。
乱歩はかつて鳥羽の造船所に勤めていたそうで,本書の舞台も伊勢志摩の小島が舞台です。
あいかわらず張りぼてのセットを眺めるようなチープな絢爛さ全開の乱歩ワールドですが,打ち上げ花火の景気よさで,
夏バテを吹き飛ばしてくれそうです。


 


8月5〜8日


カミサンも息子を連れて実家へ帰省中ということで,べつに休みを取っているわけではないのですが,なんとなく夏休み気分。
読書のほうも,気楽な中公新書の新刊「ミニチュア庭園鉄道2」(森博嗣)を読んでいます。自宅の庭に鉄道模型(といっても人が乗れる)
の線路を敷き,日々路線拡張に努めている著者のレポート第2弾。車両や機器,風景?も基本的に自作なので,ユニークな物ばかり。
カラー写真満載。これは羨ましい。


 


8月3〜4日


岩波文庫の新刊「純粋経験の哲学」(ウィリアム・ジェイムズ)を読む。これにあわせて,久しぶりに「プラグマティズム」
も重版したとのこと。青帯のなかで親しい本である「プラグマティズム」がずっとほっぽっておかれていたのかと思うと無念・・・というより,
この著名な本ですらそんなに需要がないのか? 本書は,ジェイムズ晩年の著作で,『根本的経験論』と『多元的宇宙』に収められたもの。
ちなみにジェイムズのお言葉には,「人間には、その人がなりたいと思うようになる性質がある」,「幸せだから歌うのではなく,
歌うから幸せになる」,「行動は感情に従うように思われているが,実際には行動と感情は同時に働く。
意思の力でより直接的に支配されている行動を規制することによって,意思に支配されにくい感情をも規制することができる。つまり,
快活さを失った時,他人に頼らず自発的に快活さを取り戻す秘訣は,いかにも楽しそうな様子で動き回ったり,しゃべったりしながら,
すでに快活さを取り戻したように振舞うことである」などがある。


 


8月1〜2日


岩波文庫の新刊「松蔭日記」を読む。綱吉の側用人として栄華を極め,幕府の財政を傾けた張本人,柳沢吉保の一代記である。
「源氏物語になぞらえて・・・」と言われるように,多くの愛妾を囲い,豪華絢爛たる生活振りはお見事。当然,多くの批判も浴びたが,
将軍への忠誠ぶりと,(消費?)文化振興につくした吉保の一途な姿は,本書によく現れている。丁寧に注は付けられているものの,
決して読みやすくはない。それでも,お話しのスケールの大きさと,くよくよと反省などしない吉保の豪毅なところに惹かれて,
一気に読んでしまった。

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2004年07月31日

2004年7月

7月28〜31日


陶芸教室へ行って壷だか茶碗だかわからないものを作ったり,プールへ行って日焼けのだめ押しをしてきたりと,
相変わらず忙しい夏休みを過ごしています。角川文庫の「鳥頭紀行 くりくり編」を購入し読んでいましたが,
やっぱり家の本棚に元本がありました。最近は,文庫化されたときに,こっちの方が読みやすくていいや!ということで,
以前確か単行本で買ったなぁと思う本でも,積極的に買うようにしています(いや,単に忘れっぽくなっただけ・・・)。本書の内容は,
ミャンマーでの出家体験,ドイツ・ロマンティック街道での結婚式と新婚ツアー(もう別れてしまいましたが),そのほかホモ関係の話題など。
文庫本で縮小されたため,文字は極めて読みにくいですが,視力に自信のある方にはお薦め。


 


7月27日


岩波文庫の新刊「嬉遊笑覧 三」を読む。本書は江戸時代の百科事典。前巻からは半年,その前は2年越しだったから,
先の内容を忘れてしまいますな。本巻では,宴会,歌舞,楽曲,児戯,行遊,祭会といった夏休みにふさわしい内容を集めている。
著者自筆本を底本とし,一見古めかしく見えるが,私のような古典音痴でも意外に読みやすく,江戸の蘊蓄話を楽しめる。ただし,
索引は最終巻にしか無いようなので,今のところ事典としては役立たない。


 


7月26日


岩波文庫の新刊「井伏鱒二全詩集」を読む。全詩集といっても,薄い文庫本にすべて収まってしまうくらいであるから,
詩に関しては決して多作ではない。のんびりとした感で,ニヤリとさせる作品も多いが,戦争の影もまた濃い。
井伏が亡き父のノートで見つけたとして発表した訳詩(以前は井伏自身の作とも言われていた)や自分自身の手による訳詩も多数含まれており,
これらは調子のよさを主眼としたユニークなものばかり。なかでも有名なのは,唐の「勧酒」の訳
「ハナニアラシノタトエモアルゾ サヨナラダケガ人生ダ」。


 


7月22〜25日


天体観測会に行ってきました。夏の星座を見てみよう,という主旨ですが,当地のように街灯りで空がなかなか暗くならないところでは,
残念ながら我が星座(蠍座)も今ひとつ輝いていません。グリーンアロー出版「ロシアカメラがむせぶ夜は−
チョートクの赤色カメラ中毒者の作り方」(田中長徳)を読みました。冷戦時代のイメージから,西側カメラの質の悪いコピーじゃないか,
と捉えがちですが,ユニークで独自の主張を持った魅力あるカメラもたくさん紹介されています。カタログ本ではなく,
長徳氏の若き日の想い出を中心にロシアカメラへの思い入れを語ったもの。


 


7月21日


続けて,新潮社「針がとぶ Goodbye Porkpie Hat」(吉田篤弘)を読む。岩波文庫でもお馴染み,精興社の印刷で,
さすがに綺麗な本だが,全体としてゆったりした流れでそれぞれの物語がまとめられているので,せっかちな人だと途中で息が続かなくなるかも。
最後までいくと,ようやく流れが読めるのだが。


 


7月20日


筑摩書房「つむじ風食堂の夜」(吉田篤弘)を読む。著者は,吉田浩美氏とともにクラフト・
エヴィング商會名義で著作や装幀の仕事をしている。シンプルで懐かしい感じのする装幀ゆえ,書棚での認識度は高い。
物語はゆっくりした口調で語られた大人の夢物語なので,一読してインパクトに欠け,売れるかは??? でも,固定ファンがいるのでしょうね。
猛暑の中,冷房の効いた帰宅の車内で読むと,暑苦しさをしばし忘れて,ほのぼの。


 


7月16〜19日


3連休。日本海側は洪水で大変だというのに,こちらは連日の猛暑。図書館に行ってきたのですが,読書というより避暑?の人たちで満員。
そんななか,「じつは,わたくしこういうものです」(クラフト・エヴィング商會)を読む。ユニークな職業の人たちが,
自分の仕事の内容を紹介するというもので,そのもっともらしい語り口が,こんな仕事があったらいいな,という気分にさせてくれる楽しい本。
偽?ポートレートや関係する小物も創られていて,芸が細かいのは,いつも通り。ちなみに取り上げられている職業は,月光密売人,果実勘定士
(鑑定士ではない),哲学的白紙商,白シャツ工房,二代目アイロン・マスター,秒針音楽師,三色巻紙配達人,時間管理人,チョッキ食堂,
沈黙先生,選択士,地歴測量士,バリトン・カフェ,冷水塔守,ひらめきランプ交換人,コルク・レスキュー隊,警鐘人,シチュー当番
(図書館の)といった面々。


 


7月15日


乱歩をようやく読み終わる。やはり,「屋根裏の散歩者」と「人間椅子」が着想の面白さや怪しい雰囲気で優れた作品だと思う。
人間椅子の肉感は,映画やテレビドラマで見るより,文字を追った方が遙かに官能的だ。


 


7月14日


乱歩の「心理試験」など読んだせいで,犯罪者心理などつぶやきながら,講談社文庫の新刊「通勤快毒」(泉麻人)を読んでみたら,
なかで詳しく紹介されている福田和子「涙の谷」が読みたくなった(あの整形逃亡犯ですな)。
扶桑社文庫で出ているらしいのだが見あたらず残念。


 


7月13日


光文社文庫の江戸川乱歩シリーズ新刊「屋根裏の散歩者」を読む。おどろおどろしい描写に頼る乱歩も悪くはないが,
やはり正面から新しいトリックや心理描写に取り組んだ初期の作品は,今なお新鮮で面白い。初期とはいっても,
乱歩の本格的な文壇デビューは30歳のときであり,よく知られている作品掲載までの紆余曲折は,乱歩自身により本書にも記されている。


 


7月12日


最近は,デジタルカメラしか使っていないので,すっかりフィルムの感触から遠ざかってしまったが,こういう本を読むと,
また古いカメラにフィルムを詰めてみようかな,という気になってくる。えい文庫の新刊「旅するカメラ2」。
スポーツ紙カメラマンからフリーとなった無口な渡部さとる氏が,愛用のカメラや思い出に残る撮影の記録をまとめた「旅するカメラ」第二弾。
作品50点も収録。ほのぼのとした感じが心地よい。著者による新写真日記はこちら


 


7月9〜11日


近所の海浜公園でプール開き。さっそく一日泳いできて,日焼けがヒリヒリ。子供も,浮き輪が要らなくなり身軽になりましたが,
潜水しているのか沈んでいるのか,わからないときがあります。未だ出ていませんが,今月の岩波文庫新刊「井伏鱒二全詩集」。「山椒魚」
やドリトル先生の翻訳では親しんできましたが,私にとって詩は初めて?なので楽しみ。


 


7月6〜8日


連日の猛暑で,さすがの通勤読書人もバテ気味。古い文庫本など読み返して,お茶を濁しています。
夜は図書館で大量に借りてきた尼子騒兵衛の「忍たま乱太郎」シリーズを1日2冊のノルマで読書?というより読まされています。
話は面白いけれど,眠い・・・。原作者あまこそうべえさんは,尼崎市生まれの妙齢の女性。1986年より朝日小学生新聞に「落第忍者乱太郎」
を連載。時代考証には特にこだわりがあり,刀剣類・火縄銃等を収集。時として忍者装束を着て女忍者「くノ一」となりパフォーマンスも行う。
「くノ一」は年齢不詳とのこと。


 


7月4〜5日


岩波文庫の新刊「対訳 ブレイク詩集 イギリス詩人選(4)」を読む。岩波文庫で昭和初期に刊行された寿岳文章「ブレイク抒情詩抄」
(先に復刊された)が親しまれているとおり,わが国でブレイクは,明治中期より広く紹介され,海外の詩人の中でもよく知られているひとり。
しかし,ブレイク自身は生前,銅版画家としてわずかに知られていただけで,詩人としては認められず,終生貧乏暮らしだったとのこと。
本書には,ブレイクによるいくつかの幻想的な挿絵も掲載されているが,手彩色によるオリジナル版をぜひ見てみたい
(Web上でもいくつか見ることができる)。


 


7月1〜3日


景気も相変わらずだし,年金も先行き不安,ということで,「株」の本が売れているらしい。大げさなタイトルが多い株本の中,
「サンプラザ中野と松本大の株本」(日経)は,ほのぼのとしていて,初心者にも楽しめる。
初めて株に手を出すS嬢に先輩サンプラザ中野が株取引指南,という内容だが,あまり儲かってないと嘆くサンプラザ氏,今月は「外為投資道場」
も上梓して,かなり投資づいていますな。

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2004年06月30日

2004年6月

6月30日


梅雨はどこへ行ったのか?と思っているうちに6月も終わり。子供の漢字検定の問題集を見せて貰ったが,なかなか難しい。
我々の小学生の頃,そんなに漢字を覚えていたかな・・・と今となってはよく分からないのだが,いずれにしても私の場合,
パソコンを使うようになってから漢字を書く力が相当衰えていることは事実。一緒に受検しよう!と言われても,中学生レベルでさえ,
かなり自信なし。


 


6月29日


「観劇偶評」は相当読みでがあり,未だ終わりません。学生さんの夏休みの読書向けということか,角川文庫で夏目漱石やドーデ,
トルストイなどが新装版で出ました。小学生のウチの息子も,寝る前には好きな本を抱えてポツポツ読んでいます。
本を抱えたまま寝てしまったので,そっと取り上げようとすると,ガバッと起きあがり,栞入れないで閉じちゃったー,と怒ります。
半分寝ながら読んでいるのですから,どこまで読んだのか怪しいものですが・・・。


 


6月28日


岩波文庫の新刊,三木竹二「観劇偶評」を読む。著者は森鴎外の弟。本書は明治期の歌舞伎批評集で,これまで,鴎外との共著「月草」
として流布されている稀覯書だったが,今回待望の文庫化とのこと。一読して,これは戯曲や演出に対する批評が主で,
役者の噂話を主としたそれまでの評判記とは異なる「劇評」であることが分かる。 ※三木竹二は津和野町の出身。本名を森篤次郎といい,
鴎外の実弟であった。明治6年に家族とともに上京し,ドイツ語を学ぶために進文学社に入学。16年,帝国大学医学部に入学し,
卒業後は医科大学内科に勤務。その後,開業する傍ら,歌舞伎の型の研究を行った。また、25年から『歌舞伎新報』の主筆となり劇評を連載し,
同誌の「歌舞伎談義」で高い評価を得た。33年,青々園と『歌舞伎』を創刊し,主宰して93号まで編集に携わった。劇評はもとより,史談,
芸談なども執筆して,近代歌舞伎批評家の草分けとして,また研究者としても活躍したのであった。(山陰中央新報より)


 


6月25〜27日


岩波文庫の新刊「ジェイン・オースティンの手紙」を読みましたが,これはどういう態度で読むべきなのか,悩みますね。
200年ほど前の英国の若い女性の日常生活を知るためには役立つかも知れませんが,
ここからオースティンの作品解釈や彼女の生きかたについてのヒントを得ようとしても難しいです。それだけ,日常雑記的で,
自然な手紙ばかりということですね。当時の風俗に関する挿絵は少々入っていますが,肝心なオースティンの筆跡がどこにもありません。
対訳本みたいに,一部でよいから実物を載せてくれたら,もっと楽しめたのに。


 


6月23〜24日


しかし,江戸川乱歩の今回の作品集,とぎれとぎれの連載の挙げ句,適当な結末を付けて終わったもの,結局中断してしまったものなど,
いい加減な?作品ばかり。乱歩自身も先のあてが無く書き始めて行き詰まってしまったという通り,まあ,
今となってはそれもよいかとは思うものの,当時,横溝正史から滅茶苦茶言われたのもやむを得ぬところ。その辺の事情が詳しく解説されていて,
本文よりそちらの方が面白いな。明日はLivedoorの分割日,どうなることやら・・・これは株の話。


 


6月21〜22日


引き続き,鼻水垂らしながら乱歩を読んでいます。岩波文庫新刊「ジェイン・オースティンの手紙」を読もうと思うのですが,
まだ手が着いていません。なお,今月は「塵劫記」が復刊されています。『江戸初期の和算書で,日常生活上・職業上必要な様々の実用問題・
数学遊びを図と共に豊富に載せた便利な実用書』。こういう歴史の教科書でおなじみの本を,手軽に手に入れられるのが岩波文庫の良いところ。


 


6月18〜20日


光文社文庫の江戸川乱歩全集の11冊目,「目羅博士の不思議な犯罪」は,表題作,地獄風景,恐怖王,鬼,火縄銃,殺人迷路,悪霊,
妖虫を収めている。ところが,妖気にたたられたのか,途中まで読んだところで風邪と発熱が酷くなり,週末は寝込んでしまったため,
未だ後半は未読。無理してトランポリン教室へ通ったのがいけなかったのでしょうか。


 


6月16〜17日


先月購入した,初めての新仮名遣いでの刊行という岩波文庫「暗夜行路」全2冊(改版)を読む。とくに好きな小説なので,
今回はじっくり読んでみようと思ったのだが,読み始めてみるとやはり止まらず,2日間の通勤電車の中で読み終えてしまった。
先に改版された藤村の「夜明け前」は読み終わって気が重くなったが,本書は暗い運命を引きずりながらも,自分の気持ちに正直に生き,
常に愛を求める主人公の姿に大いなる共感を覚え,美しい文章とともに心が洗われる思い。私にとってはかけがえのない青春の書。


 


6月15日


雑誌BRUTUSの最新号,さあブックハンティングの季節です,を読む。ブックハンティングというと,古書店へ足を運び,
稀覯書を漁るちょっと怪しげな人,という感じだが,ここでは書店側に注目して,ユニークな書店を作る上での本集め,というお話し。
最近青山一丁目にできた旅の本屋「BOOK24」をはじめ,全国のユニークな書店を紹介。また,各界のオシャレな?読書人も紹介しているが,
これは薄っぺらくて面白くなかった。立ち読みで十分だったと後悔。


 


6月12〜14日


「古本屋50年」で増補された部分は,
息子に店の経営を任せたところ一時期ファミコンソフトやアダルト誌などで儲けを得るようになったこと,
ブックオフのような新形態の古書店の進出や公共図書館サービスの充実により経営が苦しくなったこと,
かつて収集した近代文学の初版本などを活用すべくインターネット通販に乗り出しこれが現在の販売の中心となっていること,などである。
最後に著者は,古書界の偉大な先達,故・反町茂雄氏が晩年著者に語った言葉を紹介している。
『欧米にはそれぞれの専門分野の古書を扱う古書店は存在してますが,もうとっくに,日本にあるような「街の古本屋」はないのですよ。
日本も遠からずそうなることを,あなたに言っておきます』,『貧しかった日本でこそ,何でもかんでも「本は大切なもの」
という教育が必要だったのですよ。それが「街の古本屋」を今まで生きながらえさせましたね。でも本当に大切な本など,
何千何万冊のうちの一冊,二冊なのですよ。そしてね,今の日本はもう決して貧乏国ではないのです』


 


6月10〜11日


ちくま文庫の新刊「古本屋50年」(青木正美)を読む。はるか昔,青木書店の自費(自社)出版本で読んでいたので,
書店で見つけたときにはそれが文庫化されたのかと思い,パラパラめくってみたのだが,なにか様子が違う。それに,
ずっと以前にほかの文庫版も読んだ覚えがあるぞ。ということで,よく思い出してみると,最初に読んだのは「古本屋30年」,
次に文庫本で読んだのが「古本屋40年」(福武文庫),そして今回が「古本屋50年」と10年ごとに改訂版を出していたのであった。内容は,
開業当時の思い出,趣味本との出合い,経営のノウハウなど,ふつうの街の古本屋の日常が詳しく描かれており,親しみが持てる。
古典籍を扱う高級な古書店の店主の思い出話というのはよくあるが,本書は,我々になじみ深い古本屋のおやじさんが,
なぜいつもムッツリとした顔で店番しているのかを知りたい人にお薦めの本。


 


6月8〜9日


文藝春秋7月号で「核心証言 雅子妃 その悲劇の全真相」などという特集があったので,皇太子殿下と同世代の私としては,
人ごとならぬ?と読んでみたが,結局のところ皆,深厚な状況であるらしいということを感じているのに過ぎない。しかし,
問題があったとすれば,皇太子殿下がなぜ雅子妃を選んだのか・・・ということに尽きると思うのだが。皇太子殿下の一ファンとしては,
清潔感があり,なおかつ国民に親しまれる家庭作りを第一にすすめて欲しかった。


 


6月3〜7日


ご無沙汰しているうちに,いよいよ梅雨入り。土曜日は近所の蛍観察会に行ってきました。子供の頃の記憶では,
あちらこちらでチラチラと蛍の光が飛び交い,ああ風流だなぁ・・・という感じだったのですが,いまの蛍は温室のようなところに押し込まれ,
なにやら窮屈でお気の毒(保護しなければ育たないのでしょうが)。岩波文庫「夏の一括重版」,残念ながらこれは珍しい!
と思うものが無かったのですが,この中で我が愛読書としては,「利根川図志」,「ガリレイの生涯」,「アンデルセン自伝」,
「プラグマティズム」,「金瓶梅」といったところがあげられます。「アンデルセン自伝」は「自慢」が鼻につくものの,
面白いエピソード満載で,アンデルセン童話に興味がある人にはおすすめです。


 


6月2日


クラフト・エヴィング商會の新刊「テーブルの上のファーブル」を読みました。センテンスごとに色が変わる文章,
写真集とも雑誌ともつかないデザインがユニークで,とにかくオシャレな本。このファーブル(fable)は寓話のことで,「昆虫記」
とは関係ありませんが,本書の収集家的な趣味,箱庭的イメージは,昆虫の世界とも通じるところがありそうです。


 


6月1日


山崎一夫「たぬきの明細票」を読む。西原本でもおなじみ,銀玉親方・山崎一夫による麻雀荘「たぬ御殿」
商売日記。雀荘経営のアバウトさにもビックリするが,西原氏の豪快なマンガ満載でとにかく楽しめる。

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2004年05月31日

2004年5月

5月27〜31日


そろそろ梅雨入りした地方もあるようですが,こちらは30度を超える蒸し暑い日が続いています。岩波文庫の新刊「吉田一穂詩集」
を読みました。吉田一穂といえば,息子の吉田八岑氏が茅ヶ崎に住んでおり,悪魔学?で有名な氏らしく,
江ノ島に海賊船スタイルのユニークなヨットを持っていました。吉田一穂の詩は,素人の私には,ひんやりとした感触が好ましい一方,
徹底的な推敲を経た詩は理が勝ちすぎているようにも思え,なかなか難関でした。


 


5月26日


えい文庫の新刊「ライカ百景」(佐々木悟郎)と「お茶と写真の時間」(藤田一咲)を読む。デジタルカメラに転んでから,
あまり熱を入れて読まなくなった写真本だが,この2冊は,カメラにこだわりがない人でも楽しめ,のんびりとした気分になれる。佐々木氏は,
ライカやライカコピー機を中心に,クラシックカメラの日常使いの面白さを。藤田氏は,前著「ハッセルブラッドの時間」と同様,
ちょっとクラシックなカメラ,オモチャっぽいカメラを使っての気楽な写真生活を提案している。デジカメだと,
このまったり感を出すのが難しい。


 


5月25日


角川文庫の新刊「アホー鳥が行く−静と理恵子の血みどろ絵日誌」を読む。競輪・競馬狂の作家・伊集院 静と,その麻雀仲間・
西原理恵子によるギャンブルエッセイ。伊集院氏は公営ギャンブルの中で,なぜ競輪だけがイケてないのか,それは胴元がアホだから,
と執拗に書く。『男の牙が消えて行くのは現代人の風潮であるのか? それで逆に陰惨な犯罪が増えているのだから,
人間のかたちが歪んで行っているのか? 競輪選手も格闘しなくなった。見ていて,お嬢さんのレースのようで情けなくなる。たかが十年,
牙を剥いて走り切る選手はあらわれないものか。避けて走っても一生なのに。無頼派作家のエッセイに、あの“サイバラ”が無敵のツッコミ!
描き下ろし、鴨志田穣氏を交えた3人の特別座談会も収録』。


 


5月24日


古書市で分厚い文春文庫「阿佐田哲也麻雀小説自選集」を見つけ読む(大部分は「麻雀放浪記 青春編」)。が,
なんだか読みにくいなと思い,家に帰って古い角川文庫版の「麻雀放浪記 青春編」を引っ張り出してみると,
文春版では活字が大きくなっているものの,コントラスト(とくに牌の)が弱く,眼が落ち着かない感じがすることがわかった。私自身,
早くも老眼のハシリで,小さい活字は読みにくくなっているのだが,やはり電車読書のように光の具合がよくないところでは,
紙の色も含めたコントラストが重要だと感じた次第。


 


5月20〜23日


梅雨のはしりのような鬱陶しい日が続いています。「娘巡礼記」(高群逸枝)の続き・・・。若い娘の珍しいひとり旅は,
四国八十八ヶ所の先々で地元の人々の注目のまと。「よか所の娘でも病気ばかりは仕方がない。前世の罰だろう」と言われたり,
彼女が寄稿した新聞記事を読んだ人が実は女を装う男ではないかとわざわざ訪ねてきたり,ときにはファン?となった若い男から手紙が届けられ,
病気を治して欲しいと人々が押しかけてくる始末。もともとストーカーじみた恋愛騒動に悩んだ末の出立であったが,
どこまで行っても彼女の新たな悩みは尽きません。書きぶりは大変素直で,楽しく読むことができます。


 


5月18〜19日


書店で見かけた60数年ぶりの復活だという中公文庫「読書術」(ファゲ)を,買おうかどうしようか悩みつつ,岩波文庫の新刊
「娘巡礼記」(高群逸枝)を読んでいます。高群逸枝は大正7年,24歳の時に新聞記者を志望して九州日日新聞社に面接に行き,
四国遍路の巡礼体験記を書くことを条件に旅費の一部提供を受けたとのこと。連載の当時より大評判だったそうですが,いま読んでも,
若い女性のひたむきな姿と,そこで出会った人々との暖かいふれ合いに,心を打たれます。


 


5月17〜18日


もうそろそろ今月の新刊が出てしまう岩波文庫ですが,ようやく「福沢諭吉の手紙」(慶應義塾編)を読みました。『伊藤博文・
岩崎弥之助ら明治の政治家・実業家や友人家族にあてた福沢諭吉の手紙118通を収録。「原点」「慶応義塾」「理財と実業」「民権と国権」
「人間交際」「家庭と日常」と主題別に六部構成として,思想家福沢の人間像を浮彫りにする』ということで,昔の人は立派な手紙を書いた,
と感心はするのですが,手紙といえば電子メールという今日,作家や著名人の書簡集というものがこれから編まれることがあるのかどうか,
神保町で高価な自筆書簡や原稿を売っている古書店の今後はどうなるのか・・・。ありがたみ,というのも立派な価値ですしね。


 


5月14〜16日


宝島社文庫の新刊「2ちゃんねる住人はばかじゃない−2ちゃんねるVOW」を読む。
おなじみ2chから生まれた面白いネタやキャラクター,独特の言葉など,あらためて本で読んで笑ってしまう。単行本
「2ちゃんねるVOW逝ってよし!」のアップデート版。個人的には,ショッカーネタが一番面白かった。最近,小学生の息子が私のマンガ本
「おぼっちゃまくん」を読んで下品なネタを連発しているので,怒ってはみるものの,オヤジも所詮同類だ・・・。


 


5月12〜13日


光文社文庫江戸川乱歩全集の新刊「緑衣の鬼」を読む。「赤毛のレドメイン家」を乱歩流に翻案した「緑衣の鬼」と,
黒岩涙香の翻訳を更にリライトした「幽霊塔」の2作を収める。「緑衣の鬼」は,
美人人妻が水族館の水槽に裸で沈められたりトランク詰めにされたりと,いかにも映画的なおどろおどろしさがメイン。「幽霊塔」は,
「ある雨の日の退屈まぎれに,熱海にも数軒あった貸本屋の一軒から,菊判三冊本の「幽霊塔」を借り出して来て読みはじめたが,
その怖さと面白さに憑かれたようになってしまって,雨がはれても海へ行くどころではなく,部屋に寝ころんだまま二日間,
食事の時間も惜しんで読みふけった。」と中学生の乱歩を興奮させた涙香の翻訳をもとに,
現代風に乱歩が書き直したもの。急転直下の結末など,筋立てはかなり無理がある感じもするが,少年の心に戻って十分ワクワクしながら読んだ。
当時不明であった原作は,最近発見され,翻訳が進んでいるとのこと。


 


5月10〜11日


光文社知恵の森文庫の新刊「自転車ツーキニスト」を読む。著者(テレビ局のディレクター)のデビュー作「自転車通勤で行こう」
増補改訂版で,原稿枚数は5割増。さらには「実践編」をかなり増強しましたので,
単行本版を読んだ人にも初めての人にも読み応えある力作になっていると思います,とのこと。私は通勤距離が長すぎて,
残念ながら自転車通勤とはいかないが,週末には自転車であちこち出向いているので,本書はなかなか実用上の参考になり,
また中年サイクリストである著者の意気込みに大いに啓発されるところがあった。著者が繰り返し書いている唯一の忠告は,
「激安自転車には乗るな!」である。理由は本書で。楽しいホームページもある。


 


5月7〜9日


なかなか五月晴れとはいかず,鬱陶しい日が続いています。今月の岩波文庫新刊は,「暗夜行路」(上,下)の改版,「娘巡礼記」
(高群逸枝),「吉田一穂詩集」の4点。高群逸枝は熊本県豊川村生まれ。紡績工場などに勤めたのち,24歳の時,
地元新聞社からの依頼で半年かけての四国巡礼体験をつづった「娘巡礼記」を寄稿。その後上京し,平塚らいてうらと無産婦人芸術連盟を結成。
女性解放運動,女性史研究に関わり,「大日本女性人名辞書」を編纂。「母系制の研究」,「招婿婚の研究」,「日本婚姻史」
などの著作があります。吉田一穂(よしだいっすい)は北海道の人。木古内に生まれ,ニシン漁で有名な古平で育つ。
15歳の頃から詩作をはじめ,早大中退後26歳で童話集「海の人形」,翌々年詩集「海の聖母」を上梓。詩集6集,詩論集2集,
童話3冊があります。1973年74歳で東京にて没。


 


5月6日


カオスシリーズの最新作「カオスだもんね11 ミズトフ編」(水口幸広)を読む。(最近,立ち読みしかしていない)
週刊アスキー連載のレポートマンガをまとめたもの。カルピス,韓国旅行,大谷採石場,ラジオ生出演など,いつもながらのレポートもあるが,
今回のメインはGNO(ガンダムネットワークオペレーション=ネットワーク対戦ゲーム)。
このマンガのおかげでGNO参加者がどっと増えたといわれるほど,ハマリ具合が面白い。


 


5月1〜5日


5連休中,我が家はカミサンが1,2日と姉妹で箱根に出かけてしまったので,私は近場でのんびり。
新江ノ島水族館の年間パスポートを取りに行ったりしていました。3〜5日は,泳ぎ好きの子供のため,
前々から行こうと思っていたスパリゾート・ハワイアンズへ(我々の世代にとっては,常磐ハワイアンセンター)。3,4日は大変な人出で,
人をかき分けかき分け泳ぐような感じでしたが,5日はかなりゆったりできました。Mr・マリックのショーや日本一の露天風呂も楽しみました。
3日間泳ぎっぱなしだったため,体のあちこちが筋肉痛ですが,幸い渋滞にもあわず,まずまずの家族サービスになったようです。

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2004年04月30日

2004年4月

4月27〜30日


友情について (岩波文庫)連休中もカレンダー通りということで,若干空いている電車の中で岩波文庫の新刊「友情について」(キケロ)を読みました。
岩波文庫としては60数年ぶりの新訳で,大変読みやすく,巻末の訳注も丁寧ですが,訳注に番号が振られていないので,
本文を読みながら探すときにやや戸惑うところがありました。


 


4月26日


衛星放送でパレスチナ問題の特集をみました。その辺りをやさしく説明できるような地図はないか?と書店に行ったら,新刊
「なるほど世界知図帳」(昭文社)があり,パラパラと読んでみると,これがなかなか面白い。普通の世界地図帳と違い,アテネオリンピック,
メジャーリーグ,サッカー,イラク戦争など,47テーマを取り上げ,カラフルな地図で解説。もちろん,
そういうビジュアルものなら他にもたくさんあるわけですが,本書は普通の地図部分にも工夫があり,
とにかく目がくらくらするほど情報量が多い。子供と「地名探し」をするのにも役立ちそうなので,1600円は結構お得と感じた次第。


 


4月21〜25日


サクサクさーくる (角川文庫)連休前でちょっとバタバタしています。だいぶ古い本(1990〜93年)になりますが,角川文庫「さくさくサークル」(西原理恵子)
を読みました。竹書房の連載が白夜書房によって単行本化,そして角川文庫へ流れてきたもの。内容は,初心者サイバラが麻雀プロ,作家,
タレントなど豪華ゲスト陣に挑戦するという山崎一夫の麻雀日記ですが,実際は文庫化されて読むのが大変なサイバラ氏の絵がメイン。
最近実戦を打っていない私,麻雀を知らない人,どなたでも楽しめます。


 


4月19〜20日


ムッシュー・テスト (岩波文庫)岩波文庫の新刊「ムッシュー・テスト」(ヴァレリー)と「肝っ玉おっ母とその子どもたち」(ブレヒト)を読む。「ムッシュー・テスト」
は,小林秀雄の訳で広く読まれてきたが,今回は『翻訳にありがちな片カナ語依存をほとんどなさず,流麗な日本語文に移しえた清水徹氏の新訳』
とのことで期待。だが一読してスッキリ頭に入ってこない。だいぶ呆けたかなぁと思いつつ,ブレヒトの反戦劇に移り,
こちらは大変面白く読んだ。いや,面白くというのは少々不謹慎。17世紀の30年戦争を舞台に,女野戦酒保商人「肝っ玉おっ母」が,
息子や娘とともに幌車に食料,酒,衣料など積み込み,軍隊と共に戦場を転々としつつ,逞しく生きる姿を描いたもの。平和では商売あがったり,
と言いつつも,戦争の犠牲となった3人の子供たちのそれぞれの死に揺れる母親の気持ちが巧みに描かれています。


 


4月16〜18日


いやいや初夏のような暑さになりましたね。わが家の近く,16日に新装なった江ノ島水族館にさっそく行きました。
今までレトロな雰囲気が持ち味と言えなくもなかった江ノ島水族館でしたが,大水槽や全天候型になったイルカのショーなど,全面的に改築し,
一気に近代的な設備に入れ替わりました。なによりも海と一体化したような開放感が心地よく,機会がありましたらぜひおいでください。
話題の海洋堂オリジナルフィギュア18種も大人気でした。その間,江戸川乱歩の続きで,「宇宙怪人」を読みましたが,ここまでくると,
話について行くのが辛く,全集読破の意気込みがなければ,途中で投げ出していまうところでした。


 


4月15日


新版 クラウド・コレクター (ちくま文庫)ちくま文庫「クラウド・コレクター」は本文2色刷で,なかなか雰囲気のある本。お話しも工夫が凝らされており,
自分でもこういう独自の世界を作り上げてみたいなぁと空想を膨らませる人も多いのではないかしら。


 


4月13〜14日


光文社文庫江戸川乱歩全集の新刊「透明怪人」を購入。透明怪人,怪奇四十面相,宇宙怪人,畸形の天女,女妖を収録。そのうち,
まず透明怪人,怪奇四十面相の少年探偵物2篇を読む。「透明怪人」で得意な変装と黒魔術を見破られ逮捕された怪人二十面相は,獄中から
「今後は四十面相と改名」などと間抜けな発表をし,性懲りもなく「怪奇四十面相」で黄金どくろの暗号を解読するも,
結局は明智探偵に取り押さえられる。いずれも,それはないだろう!という荒唐無稽な展開とトリックが懐かしい。子供に読んでやりたい本。


 


4月12日


クラフト・エヴィング商會の「すぐそこの遠い場所」と「クラウド・コレクター」が,ちくま文庫の新刊として出た。『クラフト・
エヴィング商会の先代,吉田伝次郎が遺した10冊の手帳。それは「アゾット行商旅日記」なる旅行の記録だった。この日記をもとに,
様々な架空の「おみやげ」を加え,すぐそこの遠い場所・アゾットを再構成する。「すぐそこの・・・」は,それを解読するための
「アゾット事典」。伝次郎の孫であり,現在のクラフト・エヴィング商会の主人が,書棚の隅から,この不思議な書物を見つけてきた。
遊星オペラ劇場,星屑膏薬,夕方だけに走る小さな列車,エコー・ハンティング,ガルガンチュワの涙という蒸留酒,雲母でできた本,
忘却事象閲覧塔・・・。アゾットには,謂れも始まりもわからないたくさんの事や物がつまっている。茫洋とした霧のなかにあるかのような,
なつかしい場所アゾットの,永遠に未完の事典。』 これで,何か分かりましたか? どこまでが空想でどこまでが現実なのか。
緻密に計算されているような気がしつつ,ふわふわと気持ちよく流されていく。お話しだけでなく,
文庫化にあたり再構成された紙面のデザインも凝っているので,眺めているだけで楽しい本。


 


4月8〜11日


角川文庫の1月刊,西原理恵子「できるかなリターンズ」をようやく読む。ロボット相撲大会への挑戦やカンボジア,
サハリンなど元ダンナ(となった)鴨志田氏との鳥頭紀行,自衛隊体験入隊がメイン。文庫本にしてしまうと絵がものすごくゴチャゴチャして,
老眼の人には絶対読めないものとなってしまった。鴨志田氏の壊れ様や離婚の顛末と,サイバラ氏自らの身体を張ったギャグは凄みがある。
巻末のほのぼのマンガも含めて,いろいろな意味で泣かせられる本だ。


 


4月7日


長年愛用してきた腕時計(機械式自動巻)が不調となり,ピンチヒッターとしてやってきたのが,対極の?電波時計。
光発電で電池交換は要らず,黙っていてもピタリと自分で時刻あわせをしてくれるという優れものだが,「何もやることがない」というのは,
なんとも手持ちぶさた。いままでは,2日も腕から外しておくと当然止まってしまったし,日差10秒程だとしても,
数日に一回は時刻あわせをしていたのだから。今の腕時計に必要なのは,常に腕に付けてゼンマイを巻き上げておくことではなく,
むしろ腕から外してよく日光に当てること,なんですと。

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2004年04月06日

堀辰雄

堀辰雄の「大和路」と「風立ちぬ」を読む。電子テキストを片手でページめくりしながら(実際には画面にタッチするとページがめくられる)ボチボチ読む,というのは,意外に違和感が無い。
しばらくこのスタイルでも読書を続けてみようかと思う。出版科研の調査によると,『2003年の文庫市場は推定販売額前年比0.9%減となった。前年割れではあるが,書籍部門全体の販売金額に比べればマイナスは小幅。低迷する書籍の中で,文庫本は健闘したといえるだろう。
この要因は,テレビ化・映画化された作品が売れ行き好調で,既刊本の販売が伸びているため。低価格という強みも発揮され,“安くて面白い本なら買いたい”という読者心理と擦り合った。一方で新刊は商品力低下が著しく,これまでの新刊重視の販売戦略は見直しを迫られている。』とのこと。
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2004年04月04日

電子ブックもどき

金曜日から仕事で徹夜が続き、だいぶ呆けています。青空文庫のテキストを変換してCLIEで読んでいるのですが、専用の電子ブックでなくてもそれなりに読めます。そもそも、電子ブックに紙の本と同じ機能や質感を求めようがないので、これはこれで使いようがあるな、という感じ。何冊分も持って歩けるので、出張時のお供にはよいかと。いま、入れてあるファイルは、堀辰雄や夢野久作の諸作。
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2004年04月01日

日本全国ローカル線おいしい旅

講談社現代新書の新刊「日本全国ローカル線おいしい旅」(嵐山光三郎)を読む。全国各地,美味しいものを求めて鉄道での旅の記録。
だが,中年男らしく寂れた地方鉄道を訪れて感慨にふける・・・という渋いものではなく,個室寝台に乗り込み,泊まるのはデザイナーズホテル,三国シェフと食事し,すれ違う通勤電車のサラリーマンからはコノヤロという目でみられるという,なかなか贅沢な旅。とくに,温泉と酒(ワイン)にはこだわりが。
「不良中年育成計画」は50歳以上をターゲットにしているようだが,若輩者にとってもなかなか面白い。
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2004年03月31日

2004年3月

3月27〜31日


桜も満開となり,いよいよ春本番。岡山大学の生協書店には,岩波文庫の復刊が平積みされていたので,
古いものを再読してみようかとも思ったのですが,結局,初めから持ち歩いていた岩波文庫の新刊「日本近代文学評論選 昭和篇」を読むことに。
本巻には,芥川龍之介や谷崎潤一郎をはじめ,馴染みのある作家,評論家が多く,通勤読書でも楽しめます。収められているのは,
すでにいろいろなところで読んできた著名な論文が多いものの,改めて1冊にまとめられたのは便利。現在の作家は,
このような文学上の諸問題を議論する場を持っているのか,大いに疑問。それとも,書き手と読み手の双方に,
そのような問題意識自体が失われてしまったのだろうかとも思いました。


 


3月25〜26日


「脂肪のかたまり」を行きの通勤電車で読了。ご承知の通り,プロシア占領下のルーアンから脱出する馬車には,
互いに見知らぬブルジョア夫婦3組,修道女2人,自由主義を標榜する男1人,そして娼婦1人が乗り込んでいた。彼らは,
娼婦が持ち込んだ食べ物のおかげで飢えをしのぐことが出来ると,普段は軽蔑している彼女に友好的な態度を見せる。しかし,途中の町で,
占領者であるドイツ人士官がその娼婦と関係が持てるまでは彼らの出発を許さないと言っているときくと,
愛国心ゆえ嫌がる娼婦をどうにかして説得し,士官の相手をさせようとする。再び出発の時,
皆のため泣く泣く相手をした娼婦を迎えた彼らの態度は,汚れた女を見るように冷たく,娼婦は悲嘆にくれる,というお話。
登場人物は漫画チックだが,一気に読ませるモーパッサンらしい巧みなストーリー展開は,出世作ながらこの短篇に十分現れている。
(来週は岡山に出張していますので,しばらくお待ちを)


 


3月23〜24日


新橋大古書市での岩波文庫。結構量は出ていましたが,現行カバーの新しいものばかりで残念。遅くなりましたが,岩波文庫の新刊
「脂肪のかたまり」(モーパッサン)と「日本近代文学評論選昭和篇」を購入。「脂肪のかたまり」は久しぶり(旧版:1938年初版,
57年改訳)の新訳。階級意識,弱々しく偽善的なブルジョア,逞しい娼婦の悲しい定め,といった文句が思い浮かびますが,
さっそく再読してみます。


 


3月22日


月〜木まで,新橋駅前広場で古書市開催中です・・・が,今日は大雨で休業状態。「嵐が丘(下)」を読了。
ヒースクリフって意外に純粋で男らしいじゃない,などと思いつつも,登場人物が,生まれてからずっと自分の領地の中で,
家族親族だけと顔をつきあわせて過ごしていることに,いまさらながら不思議な感じを受けます。これを書いてすぐ亡くなった著者のことを考え,
「(続)嵐が丘」があったらとか,ヒースクリフの独白物語として書けばとか,いろいろ想像は膨らみます。


 


3月19〜21日


寒いですね。当地でもここ数日雪が降るかもしれないとのこと。そんななか,相模原にある大きな公園(アスレチック)
に行って遊んできました。最近は,子供同士の遊びでも,ゲーム系の室内遊びが多く,なかなかみんなで外で飛び回るということがありませんね。
せめて休日には自然に触れて・・・と思うのですが,わざわざ連れ出さなくてはならない親は,体が持ちません。引き続き「嵐が丘(下)」
を読んでいます。久しぶりの読み返しで,あらためて細かい描写に気が付く一方,気持ちの悪い存在だったヒースクリフは,
随分分かりやすいキャラクターだな,という印象に変わり,登場人物の子供時代に,より注目するようにもなりました。
ヒースクリフが出奔していたわずか数年の間に何があったのか? これは依然として謎のままですが。


 


3月18日


「虚栄の市(4)」を読了。まあ,アミーリアよりレベッカに魅力を感じるのは男の常でしょうが,
通読してストレス解消に役立つ本だとわかりました。こういう長編にしては,登場人物がこんがらがりにくいのも嬉しい。果たして,
この先再々読する機会がくるだろうか(たぶん次の岩波文庫改版の時だろうが)・・・などと考えてしまうのも歳とった証拠。
次は閉塞感で充ち満ちた「嵐が丘」。年度末で忙しいこの時期,ストレス倍増となるか,さっそく下巻を読み始めたいと思います。


 


3月15〜17日


すっかり春めいてきましたね。コート無しでも,もう大丈夫。「嵐が丘(下)」とどちらを先に,と瞬時悩んでから,
大物に敬意を表して岩波文庫の新刊「虚栄の市(4)」を読みはじめました。ようやく最終巻。
ドビン少佐は相変わらずお人好しで何とも歯がゆいが,登場人物の高齢化が進んだ本巻では,あちこちでほろりとする場面もあり,
最後には必ずしも大団円・・・とはいかないことは分かっているのですが,とりあえず先を急ごうと思います。


 


3月11〜14日


パソコンが絶不調で,久々の再インストール。それでも機嫌が悪く,いろいろダウンロードしながら,どうにか動くようになりました。
光文社文庫の新刊,江戸川乱歩全集「続・幻影城」を読む。古今東西の探偵小説をいろいろな観点から分類。変わったトリックを紹介したり,
代表的な作家を紹介したりなど,探偵小説初心者には楽しめる本。もっともこの分厚さの半分は索引ですが。
ずっと品切れで気になっていた新型CLIEを買ってしまった。久々のPalmですな。さっそく,ホットスポット(喫茶店)で接続を確認。


 


3月10日


東海林さだお氏の新刊「どぜうの丸かじり」(朝日新聞社)を読みました。丸かじりシリーズも,よくぞ続いて第21弾。
今回は庶民的食材が多く,ネギの野菜界における位置,どじょう丼,一人で生ビール,輸入弁当O‐bento,真夏のバーベキュー,
いろいろカレー粉をかけてみる,歯に挟まるニラの怨念,おじさんのスタバデビュー,五色納豆,疑惑の松茸土びん蒸し,温泉卵のゆるゆる,
旨いぞ豚しゃぶ,トンカツの刻みキャベツなどなど。相変わらず快調。私などショージ氏より一世代下だと思っているが,
非常に共感を覚えるのはなぜか。同じような話読んだことあるなー,と思っても,やっぱり電車の中で読みながらニヤニヤ。
オジサンのストレス解消にお薦め。


 


3月8〜9日


チェーホフの「妻への手紙」は,予備知識なしに読むと,功成り名を遂げた老作家が,若い女優を妻にし,
ベタベタと甘言を書き送っている・・・という感じを受けますが,チェーホフは40そこそこで亡くなっているわけですから,
これは当たっていません。そういう印象を受けるのは,いかにもクラシックな!訳文によるところが大きく,
これがもっと現代的な流麗な訳文であったら,チェーホフのイメージは全然変わったものになるだろうと思われます。


 


3月4〜7日


週末は仕事の傍ら,子供連れでポケモンセンターへ。入場制限で1時間半待ち。手持ちぶさたなので,ゲームボーイアドバンス
(ファミコンカラー)を衝動買いしそうになりました! 買ってしまったら3台目のアドバンスだから,危ない危ない。岩波文庫「嵐が丘(上)」
を読了。今回は,スッキリした訳のせいもあって,抵抗感なく読めてしまい,充実感は今ひとつ。(私が)
大人になって感情移入しにくくなっているのかもしれません。キャサリンにしてもヒースクリフにしても,
無理に造られたようで生き生きとした感じを受けないのですね。それでも,この限られた出演者,舞台装置のなかで,
代々続く愛憎物語を作り上げた作者の執念には感服します。それに続き,
ポケモンセンターの行列から抜け出して近くの丸善で買った岩波文庫復刊「妻への手紙」(チェーホフ)を読みはじめました。こちらは,晩年,
女優と結婚したチェーホフが,離ればなれの生活の中で書きためたもの。夫人の仕事柄,チェーホフの作品はもちろん,
当時のロシア演劇に関する話題が豊富で楽しめます。


 


3月2〜3日


また,真冬に戻ったような寒さですね。「青空文庫」にここのところ堀辰雄が続けて掲載され,
現在23作品となっています。「美しい村」や「聖家族」,「風立ちぬ」,「菜穂子」など懐かしいものばかり。こういうものを読むと,
殺伐とした日々を忘れて,ゆったりとした気分になりますな。青空文庫の場合,横書きだと興ざめなので,なんとか綺麗に見えるよう,
毎回試行錯誤しながら組み直して印刷していますが,それも一つの楽しみと言えるかも。


 


3月1日


いよいよ,岩波文庫の新刊「嵐が丘(上)」を読み始めました。私にとって,最初から読み直すのは3回目,
20年ぶりということになりそうです。小学生のとき,世界文学全集のようなもので読み,このときは複雑な人間関係がハッキリせず,
あえなく討ち死にしました。読解力が無かったといえばそれまでですが,同じ頃に読んだ「ジェイン・エア」に感動したことを思うと,やはり
「嵐が丘」は手強かったといえそうです。そのため,敬して遠ざける気分が続いていましたが,20歳を過ぎた学生時代,岩波文庫の旧版で再読。
この時は荒涼とした風景と暗い情熱に満ちたヒースクリフに大変な魅力を感じ,一気に読み通しました。そんなわけで,私の中では,
古今の名作中,読み直しの「いよいよ」感ではトップクラスの本作。今回,自他共に認める中年男となった私は,
この作品の何に惹かれるのでしょうか。楽しみです。歳と共に,読み直しの機会を与えてくれた岩波文庫に,まずは感謝。

posted by 南野靖一郎 at 20:40| 2004年

2004年02月28日

2004年2月

2月27〜29日
ハッキリしない天気が続いています。27日にポケモンセンターよりゲームボーイアドバンス・フシギバナバージョンが出るというので,さっそく注文させられる羽目に。新潮文庫の新刊「ボタニカルライフ」(いとうせいこう)を読む。ガーデナーならぬベランダーと自称する著者が,都会での園芸生活を綴ったもの。チャペックの「園芸家12ヵ月」に影響をうけて,とあるように,その観察眼はなかなか鋭く,しかも無用な力の抜けた植物たちとのコミュニケーションが楽しい。読むと自分もやってみたい!と思うこと間違いないが,著者は「いい加減」といいながらも,実にマメな人なので,実際に真似をするのは厳しそうだ。

2月26日
新潮新書の新刊「関西赤貧古本道」(山本善行)は,毎日古書店の店頭均一台を覗いては,掘り出し物を探している著者による貧乏古本道指南。もちろん文庫本もターゲットとなっており,稀少な手帳文庫や山本文庫など絶版文庫の話題も豊富。ほかに,古雑誌や古書目録,ネットオークション,検印紙!まで,著者のこだわりは高価な稀覯本ではなく,あくまで惚れ込んだ作家や作品の収集にあり,関西風のノリの良さとも相まって,楽しく読みました。

2月24〜25日
引き続き,岩波文庫の新刊「ダブリンの市民」(ジョイス)を読む。ユリシーズで知られるアイルランドの作家ジョイスの初期短篇集。息詰まるような救いのない話ばかりだが,私にとっては,ディケンズより遙かにインパクトがあった。その物語の時代背景やさまざまな場面に込められた意味が要領よくまとめられている「解題」がよくできているので,それを読むと,もう一度ディテールに気を付けながら本文を読み返したくなる。本書は,古くは世界文庫,最近では福武文庫や新潮文庫からも別の訳で出ていたが,現在はいずれも絶版の模様。

2月20〜23日
岩波文庫の新刊「ボズのスケッチ 短篇小説篇(下)」(ディケンズ)を読む。ディケンズ若き日の短篇集だが,非常に話の運びが巧くて感心させられる。ただ,物語の背景がクラシックなこともあり,スイスイと読ませるものの,純粋にお話しを楽しむのは難しいかなと思った。(ちょっと見た「嵐が丘」も同様だったが)文字はゆったり組まれていて読みやすい。ディケンズに関しては,ディケンズ・フェロウシップ日本支部に詳しい資料がある。

2月20〜22日
少しずつ,春が近づいて来たような暖かい週末でしたが,私は家に持ち帰っての徹夜仕事などあり,疲れました。岩波書店から出た「ウジェーヌ・アジェ写真集」,欲しいのですが,8400円というのは,ちと痛い。アジェは,19世紀から20世紀初頭のパリとその郊外を撮影した写真家。アジェ以後の100年間に写真の何が進歩したのか?と思わせるような,完成度の高い印象的な写真を数多く残しています。また,今月の岩波文庫新刊は,「ダブリンの市民」(ジョイス),「嵐が丘(上)」(エミリー・ブロンテ),「ボズのスケッチ 短篇小説篇(下)」(ディケンズ),「嬉遊笑覧(二)」(これのみ2月24日刊行とのこと。2年振りの続刊ですな)と,なかなか読みでがありますね。どれからいこうかな。

2月18〜19日
本棚をかき回していたら,たまたま河出文庫創刊の頃のパンフレットなどが出てきました。普段,岩波文庫を読んでいると,河出文庫などは新参者という感じをもっているのですが,創刊からもう24年も経っているのですね。記念にそのとき出た「時刻表2万キロ」を再読。これは昭和53年の作品ですが,当時私はもう大学生だったのです。歳とるわけだ。

2月17日
林真理子はビジュアル系作家なのだという。本来の意味ではなく,太った・痩せたでこれほど本の売れ行きが左右されるのは珍しいということで(本人談)。また,林真理子著よりも林真理子推薦の方がよく売れるので,自分で帯の推薦文(惹句)も書いてしまおうか(これも本人談)。などという話がいっぱいの文春文庫新刊「ドラマティックなひと波乱」。エッセイ集としては第15弾だそうで,ガングロ学,雅子さま懐妊騒動,美女完成,料理学校,ダンナ,そして勿論ダイエット,と数年前のネタではあるが,相変わらずの大騒ぎをニヤニヤしながら読む。ハヤシマリコなんて生理的に受け付けないなぁ・・・などと酷いことを言う人もいるが,怖いもの見たさということもあるのよ。

2月16日
光文社文庫江戸川乱歩全集「三角館の恐怖」を読了。謎解き自体はあまり面白みがないが,最後の真っ暗な地下室での待ち伏せなど,さすがに恐怖感をうまく盛り上げてくれて,結構はまって読んでしまった。クラシックな見取り図や,もともと雑誌に連載されていたときに何回か出された犯人当ての懸賞のうちの一つも収録されていて,当時の雰囲気が偲ばれる。子供の頃,乱歩を読んだような気がする・・・もう一度読んでみようかな,という方には,この光文社シリーズがお薦め。

2月13〜15日
江戸川乱歩全集の続き,「断崖」と「三角館の恐怖」を読む。「断崖」は戦後初の短編。正当防衛と見せかけた殺人を,女と男の会話だけで描く。本作,乱歩自身は,新味を出そうとしたがうまくいかなかったと言っている。たしかに,なるほどと思いつつも,余りインパクトがなく,印象に残らない作品だ。「三角館の恐怖」はまだ途中ですが,海外作品の翻案にもかかわらず,なかなか引き締まった筆はこびで読ませてくれる。先が楽しみ。ちなみに,この光文社の全集の第7回配本は「続・幻影城」と予告されていたが,注釈や各版の相違点などを調査,リスト化する作業が難航しており,先に第8回配本予定の「三角館の恐怖」を出したとのこと。

2月12日
鼻づまりでヒーヒーいいながら,江戸川乱歩全集の続き,「虎の牙」を読む。「虎の牙」は連載当時のタイトルで,のちにポプラ社で単行本を刊行する際,怪盗ルパン全集に同じタイトルの本があるので「地底の魔術王」に改題された。魔術王というより怪しい手品師に扮する怪人二十面相と,明智探偵や少年探偵団との戦い。二十面相は身代わりのゴム人形に空気を入れたり抜いたり苦労したあげく,明智に化けて明智夫人騙そうとするも先回りされて遁走,待ち受けていた小林少年の乗るタクシーに飛び込むなど,貧乏くさいトリック連発で面目丸つぶれ。子供の頃に戻った気分で楽しんだ。

2月10〜11日
光文社文庫の新刊,江戸川乱歩全集「三角館の恐怖」より「青銅の魔人」を読む。これは乱歩の戦後最初の連載(1949年)で,「怪人二十面相」もの。二十面相は珍しい時計を手に入れるため,機械仕掛けや風船タイプなど,いろいろな魔人をせっせと作ったのだが,やはりお子様向けの書き様で,ハラハラドキドキというわけにはいかない。おなじみ明智小五郎,小林少年のほか,少年探偵団がわりに宿無しの少年達による「チンピラ別働隊」が活躍するなど,当時の世相をよく反映しているので,それを読むべき本か。

2月9日
岩波文庫1月分で残っていた「対訳 シェイクスピア詩集−イギリス詩人選(1)」を読む・・・といっても,これは「詩」として楽しんで読むのは難しかった。ウィリアム・シェイクスピアなどというサイトも参考に見てみたが,いかんせん当方の語学力と基礎知識が不足しているらしい。しかし,訳詩の場合,日本語の詩としても素晴らしく思えるものはたくさんあるわけで・・・今回は私の想像力不足ということにしておきたい。

2月6〜8日
読書の話が出なくて申し訳ありません。土・日はカミサンの妹の結婚式へ行ってきました。まあ,結婚式や披露宴は主催者も出席者もいろいろと大変ですけれど,皆幸せな気分になれて,よいものですな。息子は,新婦から花束贈呈係をつとめたお礼に,欲しがっていたポケモン・リーフグリーンのソフトを貰って,大喜び(我々のヤラセですが)。これで,我々の世代の結婚式も一通り終わって,次は姪や甥の世代になるかと思うと,さすがに歳を感じますね。

2月3〜5日
超忙しくなってしまい,電車読書でも古い本を引っ張り出して読み直すばかりで,停滞気味です。岩波書店のHPで,バレンタインに相応しい?本特集をやっていました。(1)「星の王子さま」ポストカード&オリジナル日記セット,(2)ヌードル,(3)おさるのジョージ チョコレートこうじょうへいく,(4)クマの名前は日曜日,(5)醜い花,(6)古武術に学ぶ身体操法,(7)これなら作れる男のごはん,(8)愛のことば−岩波文庫から,(9)中原中也詩集,(10)侏儒の言葉といったセレクトなのですが,そもそもバレンタインにチョコレートと一緒に本を貰ったら,かなり深読みしてしまうのではないかな。

2月1〜2日
岩波文庫新刊キケロの「老年について」は,同「老境について」の改訳ということで,Amazonなどでも若干混乱があるようですが,傍観者的な感のある「老人・・・」よりも,達観した「老境・・・」のほうがピッタリくると思いました。綿矢りささんのインタビュー。読書のスピードは早いほう?ときかれて,『けっこう早いですねえ。でも自分の本(インストール)だと,30分もあれば終わっちゃうから,短いなあと。こんな分厚くなってますけどね。実は紙も厚いんですよー。』面白い。
posted by 南野靖一郎 at 20:38| 2004年

2004年01月31日

2004年1月

1月29〜31日
来週末は結婚式があるので,床屋へ行ってきた。昔は,近所の行きつけの床屋だったのだが,今はもっぱらディスカウントチェーンの床屋で安くあげている。別にヒゲなど丁寧に剃ってくれなくてもよいし,時間ももったいないので・・・「浮世床」には「大道直して,髪結床必ず十字街にあるが中にも,浮世風呂に隣れる家は,浮世床と名を呼びて,軒稱て,連牆の梳髪舖」とあり,「諸人集まりて浮世の雑談をなす故に髪結床を浮世床と呼ぶ」というところから,床屋が風呂とともに庶民が集う場所であったことが伺える。私みたいな人が増えるようだと,日本の伝統文化である床屋談義というのは,なくなる運命にありそうだが,若い人が行くというヘアサロン?というのは,現代版浮世床といえるのかも知れない。ちなみに現在,東海・北陸地方より東では床屋,
近畿地方より西では散髪屋と呼ぶことが多いとのことです。

1月27〜28日
嵐が丘(上) (岩波文庫)
嵐が丘(上) (岩波文庫)
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エミリー・ブロンテ
岩波書店
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めったに風邪などひかないのに,ここのところちょっと不調です。やはり,寝不足はいけませんな。2月は岩波文庫から「嵐が丘」が出ます。「嵐が丘」といえば,小学生の頃,苦労して読んだものの,なんだかわけが分からず,しばらく敬遠していましたが,大人になって再読したとき,ようやくその凄まじい怨念の力に引きずられて読み通し,感激したもの。以来,常に読み返すような本ではなかったので,来月の新刊は久々の嵐が丘体験となるでしょう。いまさらですが,作者のエミリ・ブロンテは,1818年北アイルランド生まれ。「ジェーン・エア」で知られるシャーロットは姉で,妹アンも「アグネス・グレイ」などで知られる女流作家です。幼い頃から戯れに物語を書き続けてきた姉妹ですが,1847年に揃って小説を発表。姉の「ジェーン・エア」は出版されるとベストセラーになったものの,いまでは世界5大小説の一つとまでいわれる「嵐が丘」はなかなか評価されず,エミリは出版の翌年に30歳で亡くなってしまいました。

1月26日
どばくちさいゆうき (角川文庫)
西原 理恵子 山崎 一夫
角川書店
売り上げランキング: 110259

旧作だが,角川文庫「どばくちさいゆうき」(西原理恵子)を読む。サイバラと山崎一夫が,バカラ,麻雀,競馬,パチンコなどさまざまなギャンブルにチャレンジ。バブル華やかな頃のお話しなので,こんな景気のよい時代もあったんだなぁ・・・という感慨はある。各ギャンブルの簡単な遊び方レクチャー(あまり実用的ではないが)もあり親切?。白夜書房末井氏のキャラが相変わらず強烈で,最近のサイバラ本のようなパワーはないが,ギャンブルに嫌悪感を感じる諸兄でも楽しめる本。

1月23〜25日
週末はワールドホビーフェアの開催されている幕張メッセへ。もちろん子供の付き合いで。とにかく人が多くて疲れた。ポケモンステージのおねえさんは良かったが。その間,「虚栄の市(3)」をようやく読み終わる。ベッキーとスタイン侯爵の関係が露見し,この先どうなる?という一番盛り上がったところ。勢いがついているうちに,続きを読みたいところだが。6巻本を取り出してくるか・・・。

1月21〜22日
岩波文庫の新刊「虚栄の市(3)」(サッカリー)。第2巻はちょっとしんどかったが,今回はサクサク読み進む。ディケンズが当時の貧しい階級をもっぱら描いたのに対し,サッカリーは中流階級,というか上昇志向の強い庶民階級を描いて対照をなしているが,読み手も忍耐が要求されるディケンズに対し,サッカリーはゴシップネタ豊富で楽しめる。善人・悪人と一概に決められないのが本作の面白さで,善人タイプであるドビン少佐の煮えきらなさやアミーリアの自分勝手さにも次第に不愉快になってくる。

1月20日
岩波文庫の新刊「ボズのスケッチ 短篇小説篇(上)」を読む。当時新聞に記事を書いていた20代のディケンズによる短篇集。原題は,Sketches by 'Boz'-Illustrative of Every-day Life, and Every-day People。ボズはディケンズのペンネームで,これが作家として世に出るきっかけとなった。先に出た(1986)岩波文庫「ディケンズ短篇集」の陰気で毒のある話に比べると,ユーモア重視の「世話物」なので,現代風の派手な展開の短編に慣れている読者は,辛抱できるかどうか。じっくり読めば,ディケンズらしいディテールの描写が楽しめますよ。

1月19日
週末は,今年初めての雪。子供は,雪玉が作れるほど積もらずガッカリしていましたが。えい文庫の新刊「往年のペンタックスカメラ図鑑」を読みました。趣味本を集めたこの文庫シリーズ,ライカ,ニコン,キヤノン,オリンパスに続き,本書は一眼レフカメラのパイオニアだった旭光学(現,ペンタックス)のかつての栄光の軌跡を辿ったもの。私自身は,ペンタックスのカメラは一度も所有したことがないので,国産初の一眼レフ,ペンタプリズム,クイックリターンミラーなど,ペンタックスの独創的なカメラ群を興味深く見ました。もちろん,35mmだけではなく,現行機の6×7や645,懐かしいAuto110なども詳しく紹介しています。

1月18日
国内発売が始まったParker100(万年筆)を入手。ダイヤモンドブルーという色。実物は綺麗だけれど,結構女性っぽい感じ。その割に,書き味はバランス良くしっかりしていて,インクの流れ(とりあえずウオッシャブルブルーを入れた)もスムーズなのは,Parkerらしいところ。パッケージの箱は分不相応に立派。高価な物ではないので,普段使いには良いと思われます。

1月16〜17日
岩波書店によると,2003年度の岩波文庫一括重版は全書目が刊行中とのこと。売れ行きが悪かったのか?とも思いますが,未だ入手されていない方はぜひ。今月は,キケロ「老年について」の新訳が出ます。キケロ自身は,60歳以上まで生きた人のようですが。当時の「老年」というのが,どの位をさしているのか興味があります。日本では弥生時代など平均寿命は30歳程度だったようですが。私など,もうとっくに老人扱いでしょうか。ほかに,「対訳 シェイクスピア詩集」,「虚栄の市(3)」,「ボズのスケッチ 短篇小説篇(上)」(ディケンズ)が刊行されます。

1月14〜15日
Sachi's Booksurfingの海野さんのページからリンクしていただきました。ありがとうございます。綺麗な作りで,感心しました。レビューやリンクも充実しているので,お薦めします。紹介されていた「はてなアンテナ」のおとなりページには、吃驚。

1月13日
岩波文庫「春のリクエスト」出版題目(2月24日発売予定)

  • ○青帯

  • 福住正兄筆記/佐々井信太郎校訂 「二宮翁夜話」

  • 広瀬豊編 「吉田松陰書簡集」

  • 松浪信三郎訳 「パスカル 科学論文集」

  • スピノサ/畠中尚志訳 「神学政治論 ―聖書の批判と言論の自由―」全2冊

  • フッセル/池上鎌三訳 「純粋現象学及現象学的哲学考案」

  • カーライル/石田憲次訳 「衣服哲学」

  • ○白帯

  • ホブスン/矢内原忠雄訳 「帝国主義論」全2冊

  • ○黄帯

  • 永積安明校訂 「十訓抄」

  • 玉井幸助校訂 「東関紀行・海道記」

  • 伊藤松宇校訂 「風俗文選」

  • 伊藤松宇校訂 「蕪村七部集」

  • 本居宣長/村岡典嗣校訂 「玉くしげ・秘本玉くしげ」

  • 松平忠信/松平定光校訂 「宇下人言・修行録」

  • 仲田勝之助編校 「浮世絵類考」

  • ○緑帯

  • 二葉亭四迷訳 「あひゞき・片恋・奇遇 他一篇」

  • 伊良子清白 「詩集 孔雀船」

  • ○赤帯

  • 岩本裕訳 「インド古典説話集 カター・サリット・サーガラ」全4冊

  • バイロン/小川和夫訳 「マンフレット」

  • サッカレ/平井呈一訳 「床屋コックスの日記・馬丁粋語録」

  • シラー/相良守峯訳 「メッシーナの花嫁」 51年ぶりの復刊

  • ジョルジュ・サンド/川崎竹一訳 「彼女と彼」

  • フランシス・ジャム/三好達治訳 「散文詩 夜の歌」

  • チェーホフ/神西清訳 「シベリヤの旅 他3篇」

  • 湯浅芳子訳 「チェーホフ 妻への手紙」全2冊 44年ぶりの復刊

  • ゴーリキイ/湯浅芳子訳 「追憶」全2冊

  • サァディー/沢英三訳 「ゴレスターン」

  • 河野与一訳 「プルターク英雄伝」全12冊セット



1月12日
知恵の森文庫の新刊「スッチー道」(Keiko)を読む。見た目は際物っぽい本だが,元ANAのパーサーでイラストレーターの著者が,在職中の職場での人間関係や,オトコ事情などを具体的に描いており,なかなか楽しめる。この手の本,一般読者を意識してか,あまり妬まれるような話は書かないものが多いけれど,本書は比較的正直に書いているようで,航空関係者の世界はやっぱりうらやましいなぁと思う人が多いかも。同著者で,4コママンガ「無敵のスッチー」,「伝説のスッチー」(ソフトバンク)も出ている。

1月9〜11日
年末に行けなかったので,近場ですが,3箇所ほどお墓参りに。「新宝島」より,残っていた「偉大なる夢」を読む。乱歩戦時中の作品であり,当時の社会情勢をよく反映しているため,今となっては一風変わった印象を与えるものとなっている。新型爆撃機を開発した日本人技術者とそれをねらう米国のスパイとの攻防を描いているが,当然ながら,米国はひどい扱いを受けている。アリバイ工作やトリック,意外なスパイ捜しという仕掛けもあり,興味を持って読めるものの,楽しんで読むためには,やはり時代が違うと言わざるを得ない。

1月8日
「新宝島」より「智恵の一太郎」を読む。戦時中に書かれた少年ものの連作短篇集。主人公は,智恵者の小学6年生,明石一太郎君。ちょっと生意気でいやなヤツかもしれないが,周りの友達や大人は,賢い子だと感嘆している。彼は,科学や自然のちょっとした謎を,優れた推理力や観察力で解き明かしていく。たとえば,蜘蛛はどうして離れた木の間に巣が張れるのか,トックリバチの巣作りの秘密,月の見た目の大きさはなぜ変わるのか?などなど。「子供の科学」に載っていそうな話ですが,いまの子供が読んでも興味は持てそう。

1月7日
光文社文庫江戸川乱歩全集の最新刊「新宝島」を購入。新宝島,智恵の一太郎,偉大なる夢という3作品を所収。「新宝島」は初めて読みました。海賊船に誘拐された3人の少年が,脱出した先の南方の小島で,サバイバル生活を送るという冒険譚。その未開の島で黄金に飾られた部族を発見した彼らは,少年ながら重用され,いつか日本の国のために,この黄金を役立てることを夢見る・・・。本書は戦前版を底本にしているので,作品全体に流れる大東亜共栄圏時代の臭いに馴染みにくいところもありますが,当時の少年ものの物語の雰囲気をよく伝えていて,興味深く読みました。戦後に出版された「新宝島」は,その辺の記述が,かなり改められているとのこと。

1月6日
「二十歳の原点」高野悦子さんの最期の詩の自筆原稿が,Web上にありました()。よく見ると,本になったものと若干の異同があります。この詩についてはかつて,高野さんの亡くなった後に編集されたものだという話もあったのですが・・・。

1月5日
ヒゲ剃り用のフォームをジェルに換えたら,なかなか快適に剃れるようになりました。ついでにシェーバーホルダーも換えて,シックのトリプルエッジに。特にヒゲが濃くない私の場合,3枚刃は小回りがきかない印象がありましたが,これは結構扱いやすく気に入りました。さて,「要約世界文学全集」の中に,1点だけ知らなかった作品があった。ポーの「ウィリアム・ウィルソン」・・・と思ったら,これは「影を殺した男」,アラン・ドロンが演じていたやつですな。つらつらと読んでいると,結構読み返したい作品がみつかりました。もっとも,書棚から探せるかどうかは別の問題ですが。

1月1〜4日
あけましておめでとうございます。今年のお正月は,妻の実家へ行ったり,息子の友達一家が来たり,近所を通る箱根駅伝の応援などと,遠出せずに過ごしました。新しい年にふさわしい文庫本として,選んだのが「要約世界文学全集」(全2巻新潮文庫)。これはなかなかのアイデアで,普通の要約本のように,編者が適当に粗筋を書くというのではなく,原文からポイントとなる文章を抜き出して,ストーリーが分かるように編集している。ドストエフスキー,トルストイ,ツルゲーネフ,バルザック,ルソー,プルーストなど,62作品が各13頁で読め,普通のガイドブックを読むより,ずっと作品のイメージが掴みやすく「読んだ気」にさせ,満足感がある。名作本を読まない人のためにではなく,手当たり次第読み過ぎてこんがらがっている人の頭の整理のために有効。
posted by 南野靖一郎 at 18:35| 2004年