河出文庫より,「久生十蘭ジュラネスク-珠玉傑作集」が出た。収録作品は,「生霊」「南部の鼻曲り」「葡萄蔓の束」「無惨やな」「遣米日記」「藤九郎の島」「美国横断鉄路」「影の人」「その後」「死亡通知」 の10篇。現在,文庫本や単行本では読めないものを集めている。
久生十蘭((ひさお じゅうらん)は,1902年函館市生まれの小説家,演出家。1928年上京し,岸田國士主宰の「悲劇喜劇」の編集に従事。1929年渡仏し,パリ物理学校でレンズ工学,パリ市立技芸学校で演劇を学ぶ。帰国後は舞台監督,翻訳家、明治大学文芸科講師などを務め,1937年文学座に参加。演出家として活躍する一方,ガストン・ルルーの翻訳なども行った。1957年没。博識と技巧で「多面体作家」「小説の魔術師」と呼ばれた。2008年,「定本 久生十蘭全集(全11巻)」(国書刊行会)の刊行が始まり,2009年岩波文庫からも「久生十蘭短篇選 」が刊行された。