単行本はどこに?

書店で,ある作家の小説やエッセイを探すときに,あなたはまず単行本の書棚へ行きますか,それとも文庫本の書棚へ行きますか?

私の場合,明らかに出たばかりの新刊書とわかる場合を除いて,文庫本の方へ行きます。最近のように,単行本から文庫化される時期が早くなると,単行本をレジへ持っていく途中で,念のため….と文庫本の書棚をのぞいて,「あっ!あった^^」ということも,よくありますし。

ということで,メジャーな作家を選んで,現在流通している本の中で,文庫本がどれだけの割合を占めているのか,調べてみました。全点数には,全集や新書を含んでいます。

作家名 全点数 うち文庫点数 文庫割合(%)
夏目漱石 142 59 42
川端康成 68 27 40
三島由紀夫 74 48 65
泉 鏡花 40 15
芥川龍之介 75 27 36
永井荷風 20 30
太宰 治 60 34 57
森 鴎外 47 26 55
赤川次郎 545 343 63
志茂田景樹 167 52 31

これより,ごくごく大ざっぱに見て,50%程度は文庫本であると思われます。しかし実際に書店に並べられている本の点数ではどうでしょうか?

我が町の比較的大きな書店(120坪程度)について見てみると,これらの作家のうち,赤川次郎と志茂田景樹の新刊単行本,新書を除くと,他の作家は文庫本しか置いてありませんでした。よって,書店で実物を見て本を買う,という一般の読者にとって,多くの作家,とくに過去に文豪と呼ばれたような作家は,「文庫」作家なのです。書店側は「文庫本しか売れない」と嘆いていますが,読者としても「文庫本しか選べない」と言いたいところです。

一般書店のチェーン店化がすすみ,文庫本と雑誌以外は置かないような店が増えています。それに対して,最近は大型書店によるインターネットを利用した通信販売も広まってきましたが,これらの在庫検索ページで調べて,はじめて文庫本以外にもたくさん本があったんだ!と驚く人が,これから増えるかもしれません….。