水晶萬年筆 (中公文庫)
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吉田 篤弘
中央公論新社 (2010-07-23)
売り上げランキング: 1640
中央公論新社 (2010-07-23)
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「水晶萬年筆」(吉田篤弘)が文庫化された(中公文庫)。
装幀は相変わらずシンプルながら目を引くもので,さすがだ。肝心の物語は,「アルファベットのSと「水読み」に導かれ,物語を探す物書き。影を描く画家。繁茂する導草に迷い込んだ師匠と助手。月夜に種蒔く人。買えないものを売るアシャ。もう何も欲しくない隠居のルパン-人々がすれ違う十字路で,物語がはじまる。流れる水のように静かにきらめく6篇の物語集」。独特の不思議世界は垣間見えるものの,全体に淡泊で今ひとつ惹かれるものがないのが残念だ。
吉田さんの本を読み始めてから,結構長い時間がたつと思うのだが,クラフト・エヴィング商會名義の作品の時と違って,素に戻った著者の照れが感じられるせいかなぁ・・・