他人の本棚って気になりますよね。いやアンティークの豪華な本棚だとか、ミカン箱積み重ねてあるとか(いまどき無いかも)ではなくて、本棚にどんな本が並んでいるかということに。
本棚を見れば、好きな本のジャンルや作家や、私のようにとにかく絶版の文庫本ばかり詰め込んでいる変なやつだ、などととりあえず持ち主の性癖はわかります。しかし、そこから一歩進んで、どの棚にどんな本が集まっているのか、並べる順番に何か意味があるのか….よく雑誌に有名人の本棚などが紹介されると、そういうことにも興味がいきます。
クラフト・エヴィング商會の新刊「おかしな本棚」は、さまざまなテーマにより集められた本で本棚の一段をつくってみようという試みなのですが、そのテーマがなかなかユニークで面白いのです。
取り上げられているのは、金曜日の夜の本棚、年齢のある本棚、蜂の巣のある本棚、波打ち際の本棚、旅する本棚、うるわしい本棚、読めない本棚、買えなかった本棚、返しそびれた本棚、などなど。それぞれの本棚ごとに実際の本の背表紙を並べた写真と解説文が付けられています。
どんな本が選ばれているのかは、本書を読んでのお楽しみということですが、ちなみに岩波文庫ばかり並べられた本棚は「蜂の巣のある本棚」。
本書は章によって本文の紙質や文字色を変えたり、あいかわらずの凝った造りで、久しぶりにクラフト・エヴィング商會らしさを楽しめました。