岩波文庫の新刊,ディケンズ「アメリカ紀行 上」を読む。どこかで読んだような気がするフレーズもあったのだが,本邦初訳とのことで,気のせいか?
ピクウィック・ペイパーズやオリバー・ツイストで人気作家となったディケンズは,夫人と共に1842年アメリカを訪れた。ボストン,ニューヨークなど,新興都市の生き生きとした様子を,単に物見遊山ではなく,英国と比較したアメリカの社会システムの特徴に触れながらユーモアや皮肉を交えつつ描いている。
アメリカでは大歓迎を受けたディケンズであったが,当初の大きな期待と希望に比してかなり幻滅を感じたことも多かったようで,帰国後に書かれた「マーティン・チャズルウィット」(ちくま文庫にあり)ではアメリカ人を散々こき下ろした。それゆえ,アメリカでは悪評だったとのこと。
ディケンズの紀行には「Pictures from Italy」というのもあるが,こちらも邦訳は未だない。