一時期,あれだけ書店の棚を賑わせていたサンリオSF文庫が廃刊となって,早くも10年が過ぎました。1978年,それまでの文庫とは一線を画した綺麗な表紙と洒落たデザインで登場したSF文庫は,ハヤカワや創元とはひと味違う,目新しい作品を数多く収録し,注目を集めました。本邦初訳も多かったせいか,一時は悪訳・迷訳の宝庫などと言われましたが,イギリスやフランスなど,それまで馴染みの薄かった作品,作家を広く知らしめた功績は大きいでしょう。
私自身は,紙質の関係か,手に持ったときに妙に軽い文庫というのはどうも馴染めないのですが,SF文庫だけは,物珍しさに惹かれて(「妖精物語からSFへ」や「ベスト・オブ・サキ」の表紙など,なかなか気に入っていました),いくつかを読みました。
1987年,197冊を出し終え廃刊となったSF文庫は,あっという間に書店から消えていきましたが,今になって,そのユニークなラインナップが注目され,古書店で岩波文庫よりも高値が付くようになりました。廃刊を知ったとき,棚の前で「もっと買っておこうか….」と思案した人は私だけではないと思いますが,今となっては無念の涙。まあ,SF音痴の人間が欲を出しても,しょうがないのですが^^;;。
ちなみに村上春樹氏は,SF文庫をほとんど持っているそうです。
サンリオSF文庫の全刊行目録が「サンリオSF文庫パーフェクト・
インデックス」にあります