ペルシア人の手紙(岩波文庫)は,パリへやってきたペルシアの2紳士が,
故郷との往復書簡のなかで,当時のフランスの風俗社会を批判するという書簡体の風刺小説。
モンテスキューが若き日に匿名で出版し,1721年,発行とともに,当時のアジア本の流行にものって,
偽版も出るほどの大評判となった。
思想の上では,『法の精神』に先立って,専制政治を批判し立憲政治を求めるモンテスキューのポリシーがあらわれた書として重視される。
また,本書のあと,この方式を模倣する書が次々と発行され,
それらがルソーの新エロイーズに結実したとの見方もある。
一方,読み物としては,パリからの手紙に対して,故郷に残してきた使用人からは,
主なきハーレムのゴタゴタを訴える手紙が次々と届くが,かなりメチャクチャな話ばかりで,
当時のフランス人が抱くペルシアのイメージを知ることができて,こちらも面白い。
本書は昨年復刊されたので,まだ在庫があるかも。おそらく1950年に出て以来増刷もされず,残った紙型のまま復刊したのであろうが,
現在のオフセット印刷では見られない活字の転倒や抜けがあった。その意味でも珍しい岩波文庫といえるか。ただし訳文はそうとう酷い。
モンテスキューと『法の精神』
革命によって現実化することとなった彼の政治思想は,数十年もの準備のすえに書かれた主著『法の精神』に代表される。
独創より実践が特徴である啓蒙思想家の中にあって,彼の構想は独創性をも伴っている。つまり,
経験主義者の代表的な哲学者であるロックですら,〈法〉というものをきわめて抽象普遍的にしかとらえられておらず,また,
その論証はきわめて思弁的で《合理論》的であったのに対し,彼は法学を《経験論》的に位置づけなおし,
世界各国の各時代にさまざまな法が存在するという事実をふまえた上で,現実のそれぞれの社会の状況,生活習慣等から具体個別的に説明し,
これによって,それらのすべてをつらぬく〈法〉の精神というものを理解する必要があるとしたのである。
つまり,〈法〉というものを,事物の必然的関係とし,自然科学における〈法(法則)〉と同じ地平から眺めようとしたのである。これは
〈社会科学〉の方法論的端緒であると言えよう。また,内容においても,〈立法〉〈司法〉〈行政〉の〈3権分立〉論などは,
その後のさまざまな国々の政治組織に広く採用され,おおきな影響力を持った。
(天才電脳哲学家純丘大先生の偉大なるHOMEPAGE!
による….このページは勉強になります^^)