ペトラルカ=ボッカッチョ往復書簡

ペトラルカ=ボッカッチョ往復書簡すっかり新年気分も抜けてしまい,これから多忙なことを考えると,ちょっと鬱ですな。ま,焦らずいきましょう。
岩波文庫「ペトラルカ=ボッカッチョ往復書簡」(近藤恒一編訳)を読みました。ルネッサンス期の詩人と作家との往復書簡集。とはいうものの,ペトラルカは岩波文庫の前書「ペトラルカ ルネサンス書簡集」が出ているように,500通余りの書簡が残っているのに対し,ボッカッチョのほうは僅かしか残っていないとのこと。各々の手紙には時代背景や二人の関係など,丁寧な解説が付けられており,所々にゆかりの写真や絵も添えられて,楽しく読むことができました。
しかし思うに,これは紙だからの残っていたわけで,今のようなメールでのやりとりだったら,記録はすべて消え去っているかもしれません。現代の作家が,パソコンで原稿を書き,メールで通信をしていると,推敲のあとや,編集者とのやりとりも後に残らない。今後の伝記作家は,どのように資料を集めるのでしょうかね。
ちなみに,ペトラルカには「わが秘密」(岩波文庫)というのもありますが,これは今のところ品切重版未定です。