北原白秋詩集

北原白秋詩集 上 (1)岩波文庫の新刊「北原白秋詩集」を読む。全2冊で,上巻には初期の詩集『邪宗門』と『思ひ出』,下巻には後期の『水墨集』と『海豹の雲』などが収められている。
白秋は1885年生まれ。福岡から上京し,早大に入学。「明星」に詩や短歌を発表し,耽美派,新浪漫派と呼ばれる文学グループに属して活躍。1942年没。白秋というと叙情的な詩や童謡の作詞家というイメージだが,女性関係はいろいろ複雑で,3度の結婚をし,その中でも27歳の時,姦通事件として隣家の人妻共々収監された事件は,当時の社会にセンセーションを巻き起こした。
岩波文庫からはこれまで,白秋詩抄,白秋抒情詩抄,白秋愛唱歌集,北原白秋歌集が出ている。解説によると,先に「抒情詩抄」が編まれたのは,抒情小曲などを当時,純粋な詩とは区別して扱う風潮があったからで,今回はそれも含めて一つの詩集としてまとめたとのこと。作品自体は,当然すでに親しんでいるものばかりなので,あらためて2冊を購入する意味があるか,と躊躇するかもしれないが,80年記念帯も付いていることだし,解説も充実しているので,ぜひ。
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コメント

  1. 岩波のラインナップが、一番充実している感じがしますね。

  2. 白秋って,ロマンチックでもセンチメンタルでも無いんですね。おどろおどろしいところがあるので,若い人が童謡作家みたいなイメージで読むと違うかも。

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