今月は北原白秋の詩集が出ましたが,岩波文庫版「立原道造詩集」も復刊されているんですね。筑摩書房から刊行が始まった「立原道造全集 全5巻」に便乗したわけではないでしょうが。
私自身は,30年ほど前に買った角川版全集に親しんでいますが,今回の筑摩書房の第5次全集は,建設図案,色彩画,デッサンなどの写真図版を豊富に収録,旧全集に未収録の詩篇,随想,日記,中学時代の作文,小学時代の戯文などを新たに収録,詩・物語・随想・翻訳については,生前に自らの意思で発表したものと未発表のものに区分し,それぞれ年代順に収録,生前未刊行の創作ノートなどでは,歌稿の推敲の併記は原文の形をいかして再現し,一部の原文の抹消も註記の上起こしたとのこと。造りも良さそうだし,学生時代ならすぐに手に入れたところでしょうが,この歳になって,どうしようかなぁ,というのが正直なところ。
今読んでも立原の詩は美しく瑞々しいし,その生き方に魅力を感じてはいるものの,やはり「青春のよき思い出」といった感じが強く,少々気恥ずかしさがあるのです。もちろん,詩が恥ずかしいのではなくて,その時代の自分が恥ずかしいのですね。