♪きっときっと 又来てね 素敵な私の 夜の訪問者~ といえば,小川順子の「夜の訪問者」。久しぶりに思い出したが,私が高校生の時,もう30年以上前のヒット曲だった。
もちろん,読んだのは岩波文庫の新刊「夜の来訪者」(プリーストリー)。日本でも1951年以来,たびたび上演されてきた有名な戯曲だ。
お金持ちの工場主の屋敷に,主人と妻,娘と息子,娘の婚約者が集まって一家団欒,幸せな家族の図。そこへ,突然,警部が若い女性の自殺の報をもって飛び込んでくる。警部の尋問により,その女性の自殺とこの一家との関わりが明らかになるにつれ,お互いに知らなかった家族それぞれの裏事情がわかってくる。
それだけなら,真実を語らざるを得なくなった家族の動揺と責任のなすりあいがうまく描かれていて面白い,ということなのだが,取り調べを終えた警部が帰ると,家族の間に新たな疑惑が浮かんでくる・・・。
1時間もあれば読めてしまう短い話で,どんでん返しというよりは唐突な幕切れ。やはり舞台で見てみたい。