「魔境アジアお宝探索記-骨董ハンター命がけの買い付け旅」(島津法樹,講談社+α文庫)を読む。
アジア辺境の地で稀少な骨董探しに明け暮れた日々を描いたエッセイ。危険地帯も何のその,あるときには鼻先を銃弾が掠め,壺の中からはコブラがぞろり。それでも懲りずに奥地へ奥地へと進んでいく。
現地仲介人との丁々発止のやりとりや,現地の人々とのふれあい,そしてもちろん貴重な骨董品の数々。さぞかしエキサイティングな日々なんだろうな・・・と想像はするのだが,本書はもっぱら冒険譚が中心で,肝心のお宝骨董に関するウンチク話が少ないので,その方面に関心のある人にとっては,物足りないだろう。素人向けに易しく書いてくれたせいもあって,話が作り物っぽくなってしまい,もうひとつワクワク感が涌いてこない。
もちろん,今まで知らなかったアジア各地での骨董(それも著者が初めて発見したような埋もれた名品)の取り引きについて知りたい方には,続編の「秘境アジア骨董仕入れ旅」(同文庫)とともに,興味深い記録である。