群ようこ「三味線ざんまい」

三味線ざんまい (角川文庫)新刊ではありませんが、群ようこ「三味線ざんまい」(角川文庫)を読みました。
40代後半にして小唄と三味線に挑戦し、名取りとなり舞台に立った著者のお稽古日記。ギターやウクレレ!であれば、実際に練習したことがあるし、譜面にもなじみがありますが、普段、津軽三味線や漫才の三味線しか見たことのない私にとって、まず三味線を手にするところから始まる本書は、三味線の仕組みや奏法、師匠と弟子の関係、家元制などなど、知らないことばかりで、たいへん参考になりました。
なにより、著者が再三くじけそうになりながらも、師匠に叱咤激励され、前向きに稽古に励む姿がすばらしく、不安と期待を抱きながら舞台へ出るときの緊張感もリアルに伝わってきます。好きこそものの上手なれといいますが、冗談めかして書いている稽古の苦労のウラに相当の努力があったんだろうなと素直に感心しました。
著者は稽古で一番学んだことは、人の言葉に素直に耳を傾けないと上達しないこと、何もできないということがわかって自分の傲慢だったところが少しリセットされたこと、和物の文化に親しめるようになったことだと言っています。
本書を読むと、自分でも三味線を弾きたいという気持ちになるのですが、なかなか踏み出すまでのハードルは高そうです。