最近はヴァイオリンのリサイタルに行くと、今日の楽器はストラディヴァリウスの○○です、などとアナウンスされることが多い。バブル期以降、日本に相当数のストラディヴァリウスが入ってきているだろうとは思うが、世界にはどれほどのストラディヴァリウスの作品が残されているのだろうか(6~700程度だという)。
多くのヴァイオリニストを魅了するストラディヴァリウスは、そもそも他の作家の作品に比べてどこがすばらしいのか、美しい音色の秘密はどこにあるのか、それを所有者し演奏をしたのはどんな人たちなのか、本書は、そういう様々な疑問に答えてくれる。
著者は写真家で、楽器に魅せられ、世界の名器を撮影するうちに、自らも楽器作りに手を染めるまでになってしまった。本書の口絵にも、ストラディヴァリウスの代表作の写真が掲載されており、音を聞かずとも、その美しい姿に魅了される。