婚約者の誠意を確かめるため、許嫁が男装して探りを入れるというのは、よくある?お話。岩波文庫所収の劇作「贋の侍女 愛の勝利」(マリヴォー)も上演当時、男装の女優が評判となり人気を得たという。
マリヴォーの作品は、その後200年ほど埋もれていたが、近年フランスを始め、各国でさまざまな演出で上演が続き、すっかり息を吹き返した。
本作でも、秘密を握っている従者たちの駆け引きが話をいっそう混乱させ、いろいろあったが最後は大団円、とはならないところに面白さがある。舞台全体の雰囲気も冗談ぽい軽妙なものではなく、むしろ陰鬱だ。
岩波文庫にはほかに、古くから親しまれている「愛と偶然との戯れ」、「マリアンヌの生涯(全4冊)、「偽りの告白」がある。