岩波文庫「嬉遊笑覧(五)」(喜多村いん庭)を読む。
江戸百科事典「嬉遊笑覧」全五冊がついに完結したわけだが,前回の(四)から4年,(一)が出てから7年が経過してしまった。先頃,「インディアス史 全7巻」を一度に出したのに比べて,ずいぶん気の長い話だ。
(五)には,巻十一「商賈」(問屋・物の売声など),「乞丐」(聖・作り山伏など),巻十二上「禽虫」(猫も杓子も・蚯蚓・川釣など),同下「草木」(桃栗三年・活花など),「付録」を収めている。
面白かったのは,巻十二(上)。見せ物と題して,蛇つかい,孔雀つかい,天狗巣立(フクロウにコスプレさせて天狗役とする),猿回し・・・このあたりは想像がつくが,猫に袋,犬けしかくる,一もつ・・・となると,何が書いてあるのか興味がわいてきませんか。
まあ,私の場合,これまで全五冊を読んでみて,記紀万葉集を始め膨大な文献をよく考証され,大変勉強になりました,というのが正直なところで,なかなかそれを楽しめる境地にまで達しなかったが,まずは完結ご苦労様と申し上げたい。