タイトル・作者名などが伏されて売り出されている「覆面文庫本」が今月,東京・新宿の「ヴィレッジヴァンガード新宿マルイカレン店」に登場した。
著者,書名が分からないようにラッピングされた文庫本の発案者,ブックコーディネーター内沼晋太郎さんは「本選びの範囲は自分の気付かないうちに狭くなってしまいがち。本との偶然の出会いを楽しんで」と話している。
本棚には,あらかじめ店のブックカバーがかけられた新刊文庫本約100冊が並ぶ。来店者が“選別”する材料は,「ああ,また食べられているのか…」「やつらの信じるのは目に見えぬものだけだ」といった作中の一文によるPOP広告と表示された値段だけだ。
内沼さんは平成15年にクラフト紙で包んだ文庫本を郵便物として送付できる「文庫本葉書」を販売するなど斬新な本の売り方を企画してきた。活動をまとめた『本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本』(朝日新聞出版)の出版をきっかけに,同店とのコラボレーションとして今回の企画が実現した。「今,本や本をめぐる情報が多すぎて,『何を選んでいいか分からない』という意見をよく聞く。情報をあえてそぎ落とすことで本を選びやすくできないかと思った。本は楽しむものでもあるはずで,もっと気楽に本と出合ってほしい」と期待している。
同店では,このコーナーを11月ごろまで続ける予定。
(産経新聞等による)