蔵書票

蔵書票の美 (小学館ライブラリー (116))
樋田 直人
小学館
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小学館ライブラリの「蔵書票の美」は,かつて同社から出たものの再刊で,以前読んだことがあったのですが,蔵書票の起源や技術の進展,我が国の蔵書票の始まり,現代における蔵書票の意味などを,多くの図表を用いて解説した楽しい本です。

蔵書票とは,本の見返し部分に貼って,その本が誰の持ち物であるかを明らかにするための紙票で,一般には,○○の蔵書からという意味のラテン語「エクスリブリス」(Exlibris)と呼ばれています。英語では,bookplate。15世紀ドイツで生まれ,現存する最古の蔵書票といわれているのは,1450-70年頃に作られたヨハンネス・クナベンスベルクのハリネズミの絵のもので,通称「ハリネズミ書票」として有名です。

日本ではもっぱら蔵書印が使われていましたから,蔵書票が使われるようになったのは明治時代から。画家や版画家が手がけ,版画家武井武雄や川上澄生の一連の作品などが有名です。

文庫本では,蔵書印の押してあるものはしばしば見かけますが,蔵書票の貼ってあるものはほとんど見かけません。でも,パソコンでいろいろなデザインのオリジナル蔵書票を作って愛着のある本に貼るというのも面白いでしょうね。ちなみに,北海道室蘭市の文教堂書店(あのチェーンとは違います)では,オリジナルのカバーと蔵書票を作っていて,ダウンロード出来るようになっています。

文教堂書店 http://www.muroranbunkyodo.com/index.html

【参考】
ドイツ書票協会 http://www.exlibris-gesellschaft.de/
米国蔵書票協会 http://www.bookplate.org/
日本書票協会 http://pws.prserv.net/jpinet.Exlibris/jpinet.exlibys/association.htm
蔵書票の世界 http://pws.prserv.net/jpinet.Exlibris/jpinet.exlibys/exlibris.htm
蔵書票美術館 http://www5e.biglobe.ne.jp/~exlibris/

(1998年12月5日の記事を改訂しました)