JAZZオーディオ悶絶桃源郷

JAZZオーディオ悶絶桃源郷―寺島流最強システム構築ガイド音楽を聴くとき,私は電車の中でのポータブルのCDプレーヤーか,パソコン,ラジカセを使う程度。音にこだわる….という気持ちはわかっても,実際には寂しい限り。
JAZZ喫茶店主でオーディオ評論家でもある寺島靖国氏の新刊「JAZZオーディオ悶絶桃源郷―寺島流最強システム構築ガイド」は,そんな寂しい人にも豪華な夢を見させてくれる一冊だ。とはいえ,著者が宮殿のような家の大きなリスニングルームに巨大なスピーカーを入れて贅沢三昧,というわけではない。
写真や文章から感じられる著者のリスニングルームは,お世辞にも広いとは言えず,また整理整頓されている感じもしない。その狭い部屋に大きなスピーカーシステムを置き,大音量を間近で聴くという苦しい状況だ。そんな中で,何に贅沢をしているのかというと,ずばりケーブルである。パソコンのケーブル類にうるさい人でも,メーター110万円のオーディオケーブルや,1本25万円の電源ケーブルには唸るであろう。
求道者たる著者は,すべて自己満足の世界と自嘲気味にいうものの,外野の読者にとっても興味深い人である。