ハインリヒ・ベル短篇集 (岩波文庫)
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ハインリヒ ベル 青木 順三
岩波書店
売り上げランキング: 101742
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岩波文庫「ハインリヒ・ベル短篇集」は1988年刊で,2000年に重版。しばらく品切れだったが,今回10年振りに重版される。
ベルは,1917年ケルン生まれのドイツの作家。1972年にノーベル文学賞受賞。第二次世界大戦後作家として出発し,自らの従軍体験をもとに,戦争を背景とした作品をつぎつぎと世に送り出した。彼が一貫して焦点を当て続けたのは,時代状況や戦争そのものよりもむしろ,そういったものに翻弄される弱い人間たちのほうであり,本書も,戦争にまきこまれた人々の人生がいかに踏みにじられていったのか.戦争が人々の現在の生活や心の中にいかに深い傷跡を残すものなのかを描いている。初期短篇を中心とする20篇を所収,うち本邦初訳13篇を含む。
7/16が命日だったベルは1985年,ランゲンブロイヒにある自宅で亡くなった。そこは1974年,当時のソ連から追放されたソルジェニーツィンが最初に訪れた場所であり,その後もこの家は迫害された芸術家が逃げ込むことができる場所であった。