2002年4月の新刊

そろそろ4月の新刊が書店に並ぶ頃だと思うのですが,今月は「嬉遊笑覧(1)」(喜多村いん庭;いんは竹冠に均)が面白い。
江戸風俗の百科事典と呼ばれ,ネタの宝庫。居所,容儀,服飾,器用,書画,詩歌,武事,雑伎,宴会,歌舞,音曲,玩弄,行遊,祭祀,慶賀,方術,娼妓,言語,飲食,火燭,商売,乞士,禽蟲,漁労,草木,付録の各編からなる。編集部によると,『今回の文庫版では,静嘉堂文庫蔵の自筆稿本を底本にしました。自筆稿本は巻一を欠いているため,これまで活字になっていなかったものです。(巻一は,東洋文庫蔵の写本を底本にしました)。なお,第二冊以降の刊行予定はまだ立っておりません。あらかじめお詫び申し上げます。』
あらあら….。現在入手できるのは,名著刊行会版(上下各600頁ほどで明治期刊行本復刻版25000円)と,日本随筆大成版(吉川弘文館,全4巻各巻2800円)がある。江戸百科といえば,「守貞漫稿」も有名だが,時代的には「嬉遊笑覧」の方が古く,出典が明記されており,資料的な価値は高い。ただ,イラストが豊富な「守貞漫稿」に比べて堅苦しいのは確か。