岩波書店創業百年記念復刊「もう一度読みたい岩波新書」

岩波書店は創業百年を記念して、「もう一度読みたい岩波新書」と題し、1938年創刊の岩波新書の中から発売当時に大きく話題になったもの,現在においても意義深いもの10点を一括復刊した(7月12日)。紹介は同社による。
人間と政治 (1953年) (岩波新書〈第131〉)
占領期を脱し、講和、独立へと向かうなか、戦争放棄と平和国家の理念は早くも危殆に瀕しつつあった。われわれの掲げた憲法の理想とは何であったのか。揺るぎないヒューマニズムに裏打ちされた政治哲学者の省察。〈1953年初版〉
マルクス・エンゲルス小伝 (1965年) (岩波新書)
ほんとうにマルクスは古くなったのであろうか。豊かな知見と闊達な筆とをもってマルクスとエンゲルスの生涯を描き、その思想の本質を紹介。〈1964年初版〉
日本人の心理 (岩波新書 青版)
日本人の心理には「長いものには巻かれろ」といった処世法が生きている一方で、権威を否定し自我を主張する生き方が存在している.また合理主義的な思考が広く定着しつつあるなかで、「物事は気の持ちよう」といった精神主義も根強い力を持っている。複雑な日本人の心理とあいまいな人間関係を鋭く分析した海外にも知られた名著。〈1953年初版〉
親鸞 (岩波新書 青版 853)
末世といわれる時代に叡山を下りて大衆の中に入り、血のにじむような体験をのりこえて新しい仏教理論をうちたてた親鸞。親鸞の思想構築の現場に肉迫し,さらに現代に生きる仏教のあるべき姿を追求する。〈1973年初版〉
太平洋海戦史 改訂版 (岩波新書 青版 12)
東条内閣の打倒、終戦工作で大きな役割を果たし海軍きっての知性派として知られた高木惣吉少将が太平洋での戦闘の詳細を記録した戦史。真珠湾攻撃からレイテ沖海戦まで、作戦、戦術での過誤をも厳しく見つめ、冷静な筆致と客観的な分析で描写する。〈1949年初版〉
中国文学講話 (1968年) (岩波新書)
民衆の立場に立って、古代の神話から詩歌、怪奇譚、劇、物語などをへて現代小説に至る中国文学の流れを、中国語特有の表現の面白さ、中国人のものの考え方にもふれつつ味わい深く語る。〈1968年初版〉
芭蕉句抄 (岩波新書 青版 414)
永年、芭蕉研究に精力をかたむけてきた著者が、年代順に名句を選び、きわめて綿密にかつ感情豊かに解説をほどこし鑑賞の手引きを与えながら、芭蕉の生活と心境に読者を引き入れる。〈1961年初版〉
抵抗の文学 (1951年) (岩波新書〈第58〉)
1940年6月から約4年間、ナチス占領軍と傀儡政権に支配されたフランス。ファシズムに抗する「国民的目的を追求する国民の運動」のなかで生まれた新しい抵抗(レジスタンス)の文学とは何だったのか?〈1951年初版〉
アメリカ遊学記 (1950年) (岩波新書〈第42〉)
15年戦争前夜、単身日本を発ち、新天地アメリカへ。経済学との出会い、ハーバードでの研鑽、シュンペーターとの交流など、一学徒として過ごした学究の日々を回想する。〈1950年初版〉
動物と太陽コンパス (1963年) (岩波新書)
渡り鳥は遠距離をこえて的確にわが家に帰る。サケやマスも大洋を游ぎまわった後、的確に生れ故郷の川にもどる。これらの動物が共通に太陽コンパスを役立てていることが発見された。この謎の解決を通じて自然を知る面白さを生き生きと教えてくれる。〈1963年初版〉