新潮文庫の新刊「発掘捏造」(毎日新聞取材班)を読んでいる。報道によりよく知られるところとなったこの事件の詳細経過を振り返ると,なぜこんな簡単な捏造がたびたびなされたのか,学界はそれを見破れなかったのか。門外漢でも,日本の考古学研究のあり方に疑問を感じざるを得ない。本書は,マスコミらしくうまくまとめられているので,この事件を振り返ってみるのには役立つ。立花 隆氏はこう言う。『発掘捏造はメディアの記者自体がだまされたのであり,現場で記者が取材の当然の手続きとして疑いの目を持たなければならないポイントでも持たないまま報道してしまった。それに対するメディアの側の自らの検証というのも過去にさかのぼってやらなくてはならない。ただ,こういう発掘ねつ造みたいなことが発覚すれば,これからは,記者の目も報道する時に違ってくるでしょう。新しいことが起きれば,人間のものの見方も自然に変わってくるし,報道の仕方も変わってくるものです。』