書庫整理で出てきた立原道造全集(角川書店昭和46年版)をパラパラと。立原は理系詩人だ。建築家だったことにこだわるわけではないけれど,一見メルヘンチックな甘い詩に見えても,ココロはかなり理屈っぽい。夭折した詩人はその生硬さゆえに陳腐とならず,時代を超えて若者を惹き付けている。8月の詩を・・・
麦藁帽子
八月の金と緑の微風のなかで
眼に沁みる爽やかな麦藁帽子は
黄いろな 淡い 花々のやうだ
甘いにほひと光とに満ちて
それらの花が 咲きそろふとき
蝶よりも 小鳥らよりも
もつと優しい愛の心が挨拶する
立原の詩集は,岩波文庫,ハルキ文庫,現代詩文庫などいろいろ出ています。