読書感想文を科学書で

8月に入って,そろそろ読書感想文のネタを探さなければ・・・と思っている高校生も多いと思う。とくに指定図書があればよいが,何でもよいといわれると,さて何を読もうか?と悩むことになる。以前読んで面白かったあの本をもう一度読んで・・・というのが一番確実だが,面白かったから感想文がうまくまとめられるとは限らない。そうかといって,定番の夏目漱石や芥川龍之介,宮沢賢治あたりを読んでも,いまさら新機軸を出す余地はなく,ありきたりの感想文になってしまう。それなら,文芸書にこだわらず,科学書を読んでみたら・・・

ということで,岩波文庫よりお薦めを2冊。 「量子力学と私」,「科学者の自由な楽園」。いずれも1965年にノーベル賞を受賞した物理学者,朝永振一郎先生著。

量子力学と私 (岩波文庫)
朝永 振一郎 江沢 洋
岩波書店
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「量子力学と私」は,『大学3年で専門として当時はじまったばかりの量子力学をえらんだのはよかったが,何しろ新しい学問で専門の教官もおらず,勉強は困難をきわめた』という朝永先生が量子力学の歴史,くりこみ理論,素粒子についてやさしく解説。ノーベル賞受賞講演も収録。

科学者の自由な楽園 (岩波文庫)
朝永 振一郎
岩波書店
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「科学者の自由な楽園」は,『本書には難解な数式や理論などはいっさい出てこない。教育者としての朝永は,科学技術が台頭する20世紀において,科学の基礎となる物理学の知識が必須であることを見通し,とくに「文科系へ行く人には,文科系の物理というものがあるんじゃないか」として,一般教養としての物理学の重要性を説いた』。

いずれも,理系指向でなくても,高校生なら興味を持って読める本だと思う。