8月の岩波文庫新刊

8月の岩波文庫新刊(8/19発売)は以下の4点5冊。

・「芥川竜之介俳句集」(加藤郁乎編)
「余技は発句の外には何もない」と語った芥川竜之介は,終生俳句に格別の思入れを持ち続けた.芥川竜之介の俳句は,洗練されたレトリックによる技巧の冴えと,近代人の繊細な感覚をよく伝える.また,芭蕉,丈草ら江戸俳諧の伝統を踏まえた格調の高さを守っている点にも,その独自さがある.珠玉の如き芥川の俳句千百余句を集成.

・「荒地」(T.S.エリオット/岩崎宗治訳)
「四月は最も残酷な月……」と鮮烈な言葉で始まる『荒地』は,20世紀モダニズム詩の金字塔である.本書には,『プルーフロックその他の観察』から『荒地』までのT.S.エリオット(1888-1965)の主要な詩を収録し,その前期の詩作の歩みをたどれるようにした.難解な詩を味読できるよう詳細な訳注を付した文庫決定版.

・「根をもつこと (下)〔全2巻〕」(シモーヌ・ヴェイユ/冨原眞弓訳)
敗戦で根こぎとなったフランス,ヴェイユはそこに歴史の失敗と世界の変革の可能性を見た.不幸のどん底にある今こそ,国をかたどる真の霊感を鍛えるとき.一切の力の崇拝を拒み,美と正義と真理が一致する唯一無二の善を選ばねばならない.まったき従順のうちに世界は燦然と輝く――〈弱さの聖性〉という逆説に立脚する世界の構想.(

・「緑の家 (上),(下)〔全2巻〕」(M.バルガス=リョサ/木村榮一訳)
インディオを手下に従えて他部族の略奪を繰り返す日本人,アマゾン奥地の村の尼僧院で暮らすインディオの少女,砂の降りしきる町に流れ着き,娼館「緑の家」を建てる盲目のハープ弾き…….広大なペルー・アマゾンを舞台に,さまざまな人間たちの姿と現実を浮かび上がらせる,物語の壮大な交響楽.現代ラテンアメリカ文学の傑作.
(岩波書店による)