8月の岩波文庫復刊

8月の岩波文庫復刊(8/19発売)は以下の4点。

・「鈴木三重吉童話集」(勝尾金弥編)(1996年11月18日発行)
1918(大正7)年,児童雑誌『赤い鳥』を創刊,低俗な教訓性や娯楽性で成り立っていた従来のお伽噺を「子どもの心の特殊性に即した」童話にまで高めた作品を掲載,児童文学史に大きな足跡をのこした小説家,鈴木三重吉(1882-1936)の童話集.「湖水の女」「黄金鳥」「ぶしょうもの」「やどなし犬」「大震火災記」など13篇を収録.

・「世事見聞録」(武陽隠士,本庄栄治郎校訂,奈良本辰也補訂)(1994年12月16日発行)
寛政の改革で引き締められていた風俗が崩れて,絢爛たる化政文化が起ころうとする11代将軍徳川家斉の時代に,武士をはじめ社会の諸階級の内部矛盾・弊害を身分別に記すとともに,それに対する政策として富の平均化と風俗の匡正を提言した書.中下層身分の状況を詳述した風俗随筆であるのみならず,卓抜な政論としても知られる.

・「対訳 ペレアスとメリザンド」(メーテルランク/杉本秀太郎訳)(1988年10月17日発行)
狩で森に迷いこんだ王子ゴローは,泉の傍で泣いているメリザンドを見つけ妻とした.ゴローの弟ペレアスもまたメリザンドに惹かれる.彼らは互いの心に,二人だけの夢が宿っているのに気づくのだった.いらだつゴロー…….メーテルランク(1862-1949)のこの戯曲に,ドビュッシーは美しい音を与えてオペラ化した.文庫初の対訳.

・「陽気なヴッツ先生 他一篇」(ジャン・パウル/岩田行一訳)(1991年3月18日発行)
ヴッツ先生は貧しくて本が買えない.そこで有名な本の題名だけを拝借しては勝手に著述し,それをわが蔵書の棚に並べて満足感にひたりこむ.ささやかな喜びを糧に人生をおくる平凡な小学校教師の姿を,ジャン・パウル(1763-1825)はユーモアとアイロニーたっぷりに描きだす.ドイツ散文芸術の大先達とたたえられる作者の傑作二篇.
(岩波書店による)