5月27~31日
そろそろ梅雨入りした地方もあるようですが,こちらは30度を超える蒸し暑い日が続いています。岩波文庫の新刊「吉田一穂詩集」
を読みました。吉田一穂といえば,息子の吉田八岑氏が茅ヶ崎に住んでおり,悪魔学?で有名な氏らしく,
江ノ島に海賊船スタイルのユニークなヨットを持っていました。吉田一穂の詩は,素人の私には,ひんやりとした感触が好ましい一方,
徹底的な推敲を経た詩は理が勝ちすぎているようにも思え,なかなか難関でした。
5月26日
えい文庫の新刊「ライカ百景」(佐々木悟郎)と「お茶と写真の時間」(藤田一咲)を読む。デジタルカメラに転んでから,
あまり熱を入れて読まなくなった写真本だが,この2冊は,カメラにこだわりがない人でも楽しめ,のんびりとした気分になれる。佐々木氏は,
ライカやライカコピー機を中心に,クラシックカメラの日常使いの面白さを。藤田氏は,前著「ハッセルブラッドの時間」と同様,
ちょっとクラシックなカメラ,オモチャっぽいカメラを使っての気楽な写真生活を提案している。デジカメだと,
このまったり感を出すのが難しい。
5月25日
角川文庫の新刊「アホー鳥が行く-静と理恵子の血みどろ絵日誌」を読む。競輪・競馬狂の作家・伊集院 静と,その麻雀仲間・
西原理恵子によるギャンブルエッセイ。伊集院氏は公営ギャンブルの中で,なぜ競輪だけがイケてないのか,それは胴元がアホだから,
と執拗に書く。『男の牙が消えて行くのは現代人の風潮であるのか? それで逆に陰惨な犯罪が増えているのだから,
人間のかたちが歪んで行っているのか? 競輪選手も格闘しなくなった。見ていて,お嬢さんのレースのようで情けなくなる。たかが十年,
牙を剥いて走り切る選手はあらわれないものか。避けて走っても一生なのに。無頼派作家のエッセイに、あの“サイバラ”が無敵のツッコミ!
描き下ろし、鴨志田穣氏を交えた3人の特別座談会も収録』。
5月24日
古書市で分厚い文春文庫「阿佐田哲也麻雀小説自選集」を見つけ読む(大部分は「麻雀放浪記 青春編」)。が,
なんだか読みにくいなと思い,家に帰って古い角川文庫版の「麻雀放浪記 青春編」を引っ張り出してみると,
文春版では活字が大きくなっているものの,コントラスト(とくに牌の)が弱く,眼が落ち着かない感じがすることがわかった。私自身,
早くも老眼のハシリで,小さい活字は読みにくくなっているのだが,やはり電車読書のように光の具合がよくないところでは,
紙の色も含めたコントラストが重要だと感じた次第。
5月20~23日
梅雨のはしりのような鬱陶しい日が続いています。「娘巡礼記」(高群逸枝)の続き・・・。若い娘の珍しいひとり旅は,
四国八十八ヶ所の先々で地元の人々の注目のまと。「よか所の娘でも病気ばかりは仕方がない。前世の罰だろう」と言われたり,
彼女が寄稿した新聞記事を読んだ人が実は女を装う男ではないかとわざわざ訪ねてきたり,ときにはファン?となった若い男から手紙が届けられ,
病気を治して欲しいと人々が押しかけてくる始末。もともとストーカーじみた恋愛騒動に悩んだ末の出立であったが,
どこまで行っても彼女の新たな悩みは尽きません。書きぶりは大変素直で,楽しく読むことができます。
5月18~19日
書店で見かけた60数年ぶりの復活だという中公文庫「読書術」(ファゲ)を,買おうかどうしようか悩みつつ,岩波文庫の新刊
「娘巡礼記」(高群逸枝)を読んでいます。高群逸枝は大正7年,24歳の時に新聞記者を志望して九州日日新聞社に面接に行き,
四国遍路の巡礼体験記を書くことを条件に旅費の一部提供を受けたとのこと。連載の当時より大評判だったそうですが,いま読んでも,
若い女性のひたむきな姿と,そこで出会った人々との暖かいふれ合いに,心を打たれます。
5月17~18日
もうそろそろ今月の新刊が出てしまう岩波文庫ですが,ようやく「福沢諭吉の手紙」(慶應義塾編)を読みました。『伊藤博文・
岩崎弥之助ら明治の政治家・実業家や友人家族にあてた福沢諭吉の手紙118通を収録。「原点」「慶応義塾」「理財と実業」「民権と国権」
「人間交際」「家庭と日常」と主題別に六部構成として,思想家福沢の人間像を浮彫りにする』ということで,昔の人は立派な手紙を書いた,
と感心はするのですが,手紙といえば電子メールという今日,作家や著名人の書簡集というものがこれから編まれることがあるのかどうか,
神保町で高価な自筆書簡や原稿を売っている古書店の今後はどうなるのか・・・。ありがたみ,というのも立派な価値ですしね。
5月14~16日
宝島社文庫の新刊「2ちゃんねる住人はばかじゃない-2ちゃんねるVOW」を読む。
おなじみ2chから生まれた面白いネタやキャラクター,独特の言葉など,あらためて本で読んで笑ってしまう。単行本
「2ちゃんねるVOW逝ってよし!」のアップデート版。個人的には,ショッカーネタが一番面白かった。最近,小学生の息子が私のマンガ本
「おぼっちゃまくん」を読んで下品なネタを連発しているので,怒ってはみるものの,オヤジも所詮同類だ・・・。
5月12~13日
光文社文庫江戸川乱歩全集の新刊「緑衣の鬼」を読む。「赤毛のレドメイン家」を乱歩流に翻案した「緑衣の鬼」と,
黒岩涙香の翻訳を更にリライトした「幽霊塔」の2作を収める。「緑衣の鬼」は,
美人人妻が水族館の水槽に裸で沈められたりトランク詰めにされたりと,いかにも映画的なおどろおどろしさがメイン。「幽霊塔」は,
「ある雨の日の退屈まぎれに,熱海にも数軒あった貸本屋の一軒から,菊判三冊本の「幽霊塔」を借り出して来て読みはじめたが,
その怖さと面白さに憑かれたようになってしまって,雨がはれても海へ行くどころではなく,部屋に寝ころんだまま二日間,
食事の時間も惜しんで読みふけった。」と中学生の乱歩を興奮させた涙香の翻訳をもとに,
現代風に乱歩が書き直したもの。急転直下の結末など,筋立てはかなり無理がある感じもするが,少年の心に戻って十分ワクワクしながら読んだ。
当時不明であった原作は,最近発見され,翻訳が進んでいるとのこと。
5月10~11日
光文社知恵の森文庫の新刊「自転車ツーキニスト」を読む。著者(テレビ局のディレクター)のデビュー作「自転車通勤で行こう」
増補改訂版で,原稿枚数は5割増。さらには「実践編」をかなり増強しましたので,
単行本版を読んだ人にも初めての人にも読み応えある力作になっていると思います,とのこと。私は通勤距離が長すぎて,
残念ながら自転車通勤とはいかないが,週末には自転車であちこち出向いているので,本書はなかなか実用上の参考になり,
また中年サイクリストである著者の意気込みに大いに啓発されるところがあった。著者が繰り返し書いている唯一の忠告は,
「激安自転車には乗るな!」である。理由は本書で。楽しいホームページもある。
5月7~9日
なかなか五月晴れとはいかず,鬱陶しい日が続いています。今月の岩波文庫新刊は,「暗夜行路」(上,下)の改版,「娘巡礼記」
(高群逸枝),「吉田一穂詩集」の4点。高群逸枝は熊本県豊川村生まれ。紡績工場などに勤めたのち,24歳の時,
地元新聞社からの依頼で半年かけての四国巡礼体験をつづった「娘巡礼記」を寄稿。その後上京し,平塚らいてうらと無産婦人芸術連盟を結成。
女性解放運動,女性史研究に関わり,「大日本女性人名辞書」を編纂。「母系制の研究」,「招婿婚の研究」,「日本婚姻史」
などの著作があります。吉田一穂(よしだいっすい)は北海道の人。木古内に生まれ,ニシン漁で有名な古平で育つ。
15歳の頃から詩作をはじめ,早大中退後26歳で童話集「海の人形」,翌々年詩集「海の聖母」を上梓。詩集6集,詩論集2集,
童話3冊があります。1973年74歳で東京にて没。
5月6日
カオスシリーズの最新作「カオスだもんね11 ミズトフ編」(水口幸広)を読む。(最近,立ち読みしかしていない)
週刊アスキー連載のレポートマンガをまとめたもの。カルピス,韓国旅行,大谷採石場,ラジオ生出演など,いつもながらのレポートもあるが,
今回のメインはGNO(ガンダムネットワークオペレーション=ネットワーク対戦ゲーム)。
このマンガのおかげでGNO参加者がどっと増えたといわれるほど,ハマリ具合が面白い。
5月1~5日
5連休中,我が家はカミサンが1,2日と姉妹で箱根に出かけてしまったので,私は近場でのんびり。
新江ノ島水族館の年間パスポートを取りに行ったりしていました。3~5日は,泳ぎ好きの子供のため,
前々から行こうと思っていたスパリゾート・ハワイアンズへ(我々の世代にとっては,常磐ハワイアンセンター)。3,4日は大変な人出で,
人をかき分けかき分け泳ぐような感じでしたが,5日はかなりゆったりできました。Mr・マリックのショーや日本一の露天風呂も楽しみました。
3日間泳ぎっぱなしだったため,体のあちこちが筋肉痛ですが,幸い渋滞にもあわず,まずまずの家族サービスになったようです。