ミステリー専門店の草分け「深夜プラス1」が廃業

新文化紙9/9号ほかによると、ミステリー専門店の草分け、「深夜プラス1」が29年の歴史に幕を閉じ、8/31に自主廃業した。

東京・新宿区の神楽坂下にあるミステリー専門店」ブックスサカイ深夜プラス1」はミステリー専門店として1981年にオープン、90年代初頭の海外ミステリーブーム時は18坪の店内が「歩けないほどの混雑ぶり」だったという。

しかし、浅沼店長によると、同店の在庫構成は、ミステリーが3割弱で、漫画と雑誌が5割以上で、売上比率ではミステリーは1割にも満たない。「若い人にミステリーの魅力を伝えられず、読者が一向に増えなかった。」 「よく〈差別化〉といわれるが、それをしてはいけないということが、今回分かった。うちは十分やってきたつもりだったが、差別化をすると絶対数が出ない。めずらしい本を置いても1冊しか売れない。一方で、佐伯泰英は置けば100冊売れる。本屋にできる営業努力なんてほとんどないので近々、都内の小規模書店はすべてなくなってしまうのではないか。」

閉店前の数日は常連のほか、県外から駆けつけた客も多数いた。「『残念だ』、『これからはどこで買えばいいのか』とたくさんの方がおっしゃっていた。でも、どうにもこうにもならなかった。業界全体で“一人でも多くの若い読者を作る”。方策はこれしかないだろう。厳しいと思うが、今後もどこかの書店で働けたら」と同氏は話している。