岩波文庫「白鯨」(下)を読了。あとがきにて訳者が,138の章を物語,鯨学,劇などに塗り分けた図を示して,本書の構造を説明しているように,当時はその生態が一般にあまり知られていなかったであろう鯨の生態学や解剖学に関する長大な章と,狂ったように白鯨を追うエイハブ船長の物語の章とが交錯し,なかなか読み進むのに骨が折れる本ではある。前回読んだときは,長い鯨学の章をかなり端折ってしまったという負い目があるので,今回はとくにそこのところを念入りに読んでいったせいか,終わってみて,エイハブ船長と白鯨との死闘や,大海原で出会った百船百様な捕鯨船に関わる人々の喜びや悲しみよりも,四海を股にかける鯨たちの自由で孤独で勇猛果敢な姿に強い印象を受けた。年を越えることなく読み終えてホッとしたが,これは「白鯨」 11人目の翻訳者だという八木敏雄氏の明快な訳文にも寄るところが大きく,感謝。
今日で仕事納め。職場のみんなで昼食を取り,午後は根岸のうさぎのしっぽへ。