岩波文庫の解説目録

岩波文庫の最初の解説目録については,吉田勝栄氏が「文庫解説目録雑記帳」にて詳しく検討されている。それによると,
(1)戦前の文庫本で解説付き目録を発行したのは,岩波文庫(昭和5年11月現在版から昭和14年版),改造文庫(昭和14年および昭和15年の『改造文庫総目録』)のみで,新潮文庫は解説付き目録を発行しなかった。その名称は,当初『岩波文庫目録』,その後『岩波文庫分類総目録』,昭和14年版の『岩波文庫解説目録』から、「解説目録」という名称を用い始めた。
(2)戦後の岩波文庫解説目録は,昭和27年3月現在のものであるが,実際の刊行時期は,昭和27年2月15日ころであろう。
(3)昭和27年3月現在の岩波文庫解説目録には,「頒価10円」と印刷された通常版(裏表紙の内側に「昭27.2 200,000」と印刷されているので,発行部数は20万部と思われる。),「岩波文庫の会」会員用の特製目録(1万部程度)が存在する。両者は,表紙の紙質,「文庫の会員用」との表示の有無,「文庫解説目録再刊に際して」の字句等に差異が見られる。
(4)戦後の文庫ブームの退潮の影響か,岩波文庫解説目録の発行部数が徐々に低下したことは,昭和31年10月現在,昭和32年10月現在,1960秋および1961春の各解説目録の裏表紙の内側に「昭31.10 100,000」「昭32.9 60,000」「昭35.10 50,000」「昭36.4 50,000」と印刷されていることから看取できる。
具体的な検証については,書評のメルマガにおける同氏の記事を参照願いたいが,先に解説目録を「もとはタダですが….」といったのは,一部誤りがありました。

コメント

  1. はじめまして。私は昭和3年7月の『岩波文庫目録』を所持しています。
    これは昭和3年版の『漱石全集』に販促用として挿入されていたもので、
    岩波文庫関連では他に約41cm四方のチラシや縦20cm横13.5cm×4頁
    のリーフレットも入っていました。管理人さんが東京駅近辺の方ならば
    お見せできますので、ご興味があればご連絡ください。

  2. 失礼しました。江ノ島の近くにお住まいなのですね。
    「東京駅近辺の方ならば」というのを「東京駅に立ち寄る機会がおありの時は」に
    変更してください。

コメントは受け付けていません。