キワモノだと思って手を出さずにいた新潮文庫「文豪ナビ」シリーズ。たまたま,「川端康成」を手にとってぱらぱらやってみたら,なかなか面白い。400円とお手頃なこともあって,買ってみた。
超早わかり!川端作品ナビ,10分で読む「要約」川端康成,声に出して読みたい川端康成,川端にぶっとんだ作家による熱烈エッセイ,評伝川端康成,といった内容で,意外に読みでがある。もちろん,私が岩波文庫の中で(たぶん)いちばん読み返したのではないかと思う「雪国」も要約されている。
いまさら元本を読んでいないことには出来ないので,はじめて雪国を読む人が,この要約を読んだらどう感じるかは分からないが,少なくともこれが学校の教科書向けではなく,身勝手で寂しい中年男を描いたエロティックな作品であることは感じられるだろう。官能,退廃といったところにスポットが当たっているから。
本書は川端の作品を読んだことのない人のためのお誘い本というより,川端好きの人がその魅力を再発見するのにふさわしいもので,新潮文庫の販促には役立たないかもしれない….残念。