岩波文庫の新刊「クック 太平洋探検(3)第2回航海」を読む。
第1回目の航海で大成功をおさめたクックは,帰国の翌年,1772年に南極大陸の実在を確認すべく,2度目の南太平洋航海へ派遣される。当時は,フランスなど諸国と南極大陸の発見領有の先陣争いをしていた時期で,慌ただしい出発となった。
今回の航海では,ケープタウンから南下し,ペンギンの群れととも南極海の荒波と氷に向かって突き進み,南緯70度を超えたものの,残念ながら大陸発見には至らなかった。しかし,当時最高精度を誇った時計(クロノメータ)による経度測定が行われ,壊血病の予防に関する知見を得るなど遠洋航海上の成果をあげる一方,タヒチやニュージーランドなどに長く滞在して現地人と交流し,彼の地での繁殖を目的に山羊や羊などの家畜を持ち込んだりするなど,交易や植民地経営のための貴重な経験も得ることができた。
クックが単なる冒険家ではなく,英知に満ち,卓抜な統率力をもつ軍人であることがよく理解できる本。