角川春樹事務所「280円文庫」の状況

檸檬 (280円文庫)
檸檬 (280円文庫)

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梶井基次郎
角川春樹事務所
売り上げランキング: 49863

角川春樹事務所が4月から刊行している「280円文庫」。

明治から昭和にかけての名作を収めて、低価格に抑えることで、これまで近現代の文豪の作品になじみが薄かった若年層などの読者を掘り起こすのが狙いとのことで、青空文庫でタダで読める作品を印刷しただけか…と思われがちだが、読みが難しい漢字にルビを振ったり、注釈や著者略年譜を付けたり、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」には、長野まゆみが賢治を初めて読む人向けにエッセーを寄せたりしており、造本もダイソーの文庫よりは値段なりに良い。

これまでに出た10点をAmazonの売り上げ順に見てみると、梶井基次郎「檸檬」、太宰治「桜桃」、有島武郎「一房の葡萄」、 坂口安吾「堕落論」、高村光太郎「智恵子抄」、岡本かの子「家霊」、与謝野晶子「みだれ髪」、宮沢賢治「銀河鉄道の夜」、芥川龍之介「蜘蛛の糸」、石川啄木「悲しき玩具」となっており、女流が健闘している。

同社では、今後も人気の高い文豪の作品を中心に、年10点ずつ刊行する予定。