岩波文庫7月の新刊は以下の5点(7月15日発売)
■お菓子とビール(モーム作/行方昭夫訳)定価 819円
『人間の絆』『月と六ペンス』と並ぶ,モーム(1874-1965)円熟期の代表作.最近亡くなった有名作家の伝記執筆を託された三文文士の友人から,作家の無名時代の情報提供を依頼された語り手の頭に蘇る,作家とその最初の妻と過ごした日々の楽しい思い出…….人間の,人生の裏表をユーモラスに見つめる,一種の文壇小説.
■大学教育について(J.S.ミル/竹内一誠訳)定価 567円
大学とは職業教育の場ではなく,専門知識に光をあてて正しい方向に導く一般教養の光明をもたらすところである.文学,自然科学,社会科学,道徳・宗教,芸術などの一般教養科目についてそれぞれの意義を述べながら,大学教育の原点と理念を指し示す.名高いセント・アンドリューズ大学名誉学長就任講演.
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■ ニコライの日記(上)〔全3巻〕(中村健之介編訳)定価 1,134円
文久元年(1861),期待と熱意を胸に,25歳のロシア人宣教師が函館に降り立った.以来50年,生涯伝道に奮闘した〈ニコライ堂のニコライ〉(1836-1912).訳者により発見された日記は,激動の時代状況,そこに生きる人々の生活や声を,豊かな感情と思考,卓抜な観察力で今に伝える貴重な記録である.
■白楽天詩選(上)〔全2巻〕(川合康三訳注)定価 987円
白居易,字(あざな)は楽天.位は人臣を極め,当時の詩壇を席巻し,のこされた詩数は唐代随一.古来日本で最も愛唱された大詩人(772-846)の詩から,世の不正を憤る諷諭詩,日々の幸せを慈しむ閑適詩,玄宗と楊貴妃の愛の賛歌「長恨歌」,落魄の女性を相憐れむ「琵琶行」など,清新多彩な作を生涯に沿って精選.上巻には江州流謫期までの約七十首を収録.
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■花・死人に口なし 他7篇(シュニッツラー作/番匠谷英一、山本有三訳)定価 756円
19世紀末ウィーンを体現する作家シュニッツラー(1862-1931).彼は,愛し,悩み,裏切られ,死んでいく人間たちを倦むことなく描き続け,人生の儚さをメランコリックな情調を漂わせて印象づけた愛欲の作家,情緒の作家であった.表題作の他に,「ギリシャの踊り子」「盲目のジェロニモとその兄」「情婦殺し」など9篇を収録.
(岩波書店新刊紹介による)