講談社文庫江戸川乱歩全集の最新刊「鬼の言葉」を読む。作家であると同時に,海外の探偵小説事情の我が国への紹介や,読者の啓蒙に努めた乱歩ならではのエッセイ,評論集。
本書には,鬼の言葉,探偵小説十五年,随筆探偵小説を収録。多くはすでに講談社版などで読んでいるものだし,何より量が多いので,あらためて読み通すのは骨だが,戦前戦後を通じて,繰り返し,探偵小説とは何か?を考え続けてきた乱歩の情熱には,確かに「鬼」として恐れ入らざるを得ない。
もちろん,わたしのような探偵小説初心者にとっては,今でもガイドとしてとても役に立つ本。ただし,トリックやネタバレを嫌う人は注意して読む必要あり。