岩波文庫の新刊「幼なごころ」(ヴァレリー・ラルボー)。
ラルボー(1881-1957)はフランス・ヴィシー出身。昔,旺文社文庫で「めばえ」というのを読んだ記憶あり。というか,読んでみたら同じじゃないですか(訳者は違います)。旺文社版は入手しにくくなっているので,今回の新訳は歓迎すべきでしょうね。
ただ,そもそもラルボーの作品,ねられた文章の割には,煮え切らなさ,ぬるさを感じてしまいます。作者の育ちの良さからくるのか,評論家的な態度からくるのかは,わかりませんでしたが。「解説」によると,ラルボーの穏やかさは,自ら「裕福な愛好家」という立場にこだわったことにもあらわれているようです。
私は結構読み通すのに忍耐が必要でした。