岩波文庫5月の新刊(5月16日発売)
■加藤楸邨句集
人間の真実を探求し、現代俳句に大きな足跡を残した加藤楸邨(1905-93)の全俳句作品約9400から2948句を厳選する。1935年の第一句集『寒雷』から遺句集まで、およそ60年におよぶ作句の全貌に迫る。自己と現実を見つめる視点の斬新さは、いたるところに「詩」を見出して独自の世界をつくりあげた。(解説=中村稔)
■子ども(上)(ジュール・ヴァレス)
「子どものころ、学校で死ぬほどいやな思いをし、家で泣かされたすべての者に、わたしはこの本を捧げる」――教師の家に生まれたジャックは、厳しい父母のしつけに傷つきながらも、町や野山を駆け回り日々騒動を引き起こす。歓びと痛みに満ちた子どもの世界を描き、パリ・コミューンの闘士ヴァレス(1832-85)の文名を高めた自伝的作品。
■ブロディーの報告書(ボルヘス)
「鬼面ひとを脅かすようなバロック的なスタイルは捨て……やっと自分の声を見いだしえた」ボルヘス後期の代表作。未開部族ヤフー族の世界をラテン語で記した宣教師の手記の翻訳という構えの表題作のほかに、19世紀末から20世紀初頭のアルゼンチンを舞台にした直截的でリアリスティックな短篇11篇を収める。1970年刊。
ローマ諷刺詩集 (岩波文庫)
posted with amazlet at 12.08.04
ペルシウス ユウェナーリス
岩波書店
売り上げランキング: 175648
岩波書店
売り上げランキング: 175648
■ローマ諷刺詩集(ペルシウス,ユウェナーリス)
「諷刺詩」と訳される「サトゥラ」は、もともと「ごた混ぜ」「寄せ集め」を意味したとされる。エンニウス、ルーキーリウス、ホラーティウスを経て、ペルシウス(34-62)とユウェナーリス(67?-138?)によって、このローマ文学固有のジャンルは豊かな結実を見た。ローマ帝政期・白銀時代の二大諷刺詩人の詩全篇を収録。