岩波文庫の新刊「生物から見た世界」(ユクスキュル)を読んでいる。
書店に行ったら,岩波文庫の新刊と光文社文庫「江戸川乱歩全集」の新刊が出ていたので,どれにしようかと悩んで(一度に買えばいいのに・・・),岩波文庫の新刊から,これとコングリーヴの「世の習い」を買ってきた。
動物がこの世界をどのように眺めて(感じて)いるか,というのはとても興味深い話で,たとえばウサギは視野がほぼ360度あるかわりに,立体視できるのは正面の狭い範囲だけといわれている。しかし,嗅覚はとても発達しているから,ウサギの感じる世界というのは,人間からすればとても歪んだ世界だと思われる。ましてや,虫や魚などは我々とまったく違った世界を見ていると想像出来る。
それは人間も同様で,我々の見ている世界というのは,人間という動物の感覚で解釈された世界である。著者は,生物たちが独自の知覚と行動でつくりだす認識可能な世界を環世界と呼び,生物の行動は外界からの刺激に対する単なる物理的反応ではなく,ある環境のもとでの行動であると考えた。