文春新書の新刊「中国艶本大全」(土屋英明)を読みました。
中国の艶本(好色小説)は,150種ほどあり,明代から清代にかけてが全盛期でしたが,多くは禁書となったため,中国本土よりも,むしろ日本や西洋各国に伝えられ残されたものが多いとのこと。
本書は,遣唐使がもち帰った「遊仙窟」(岩波文庫にもあります)をはじめ,古くから日本で親しまれた艶本について,漢代以降の艶本の歴史と代表的な作品(如意君伝,痴婆子伝,金瓶梅など)を解説。著者独自の研究による「リアルな」訳で楽しませてくれます。
著者はこの手の本を沢山出しており,徳間文庫には「房中秘記-中国古典性奇談」,「房中悦あり-中国性奇談」,「秘本尼僧物語-中国性奇譚」。文春新書には「道教の房中術-古代中国人の性愛秘法」があります。徳間文庫には,中国古典笑話(野末陳平)というのもあったけれど,これは絶版かな。