新潮文庫から「ジャズ・アネクドーツ」(ビル クロウ)が出た。
自伝「さよならバードランド-あるジャズ・ミュージシャンの回想」に続く,村上春樹訳文庫版クロウの2冊目。もっともこちらの方が先に書かれたもの。
自伝も楽しかったが,ジャズ・ベーシストのクロウは,作家としてなかなか達者で,たくさんの往年の名プレーヤーの楽屋話,裏話を面白おかしく描いており,それを村上春樹がノリのいい訳で引き立てる。
ルイ・アームストロング,マイルズ・デイヴィス,デューク・エリントンなどのミュージシャンはもちろん,名物マネージャーやエージェント,アレンジャーまで登場しての大騒ぎ。ケンカやクスリばかりでなく,ときには人情味ある逸話にホロリとさせられる。
さすがにクロウらしく楽器や奏法など,音楽に関する話題も豊富で,ジャズファンならずとも大いに勉強になり楽しめる本。