光文社文庫江戸川乱歩全集の新刊「ペテン師と空気男」を読みました。昭和33年から36年頃の作品を集めたもの。第25回配本となる。
さすがにここまでくると乱歩先生,手慣れてはいるものの,格別のアイデアや毒々しさがあるわけではなく,少年探偵団を全面に出して子供向きにまとめてみました・・・という感じです。
少年もの以外では最後の作品となった表題作について,乱歩自身は「前例のない風変わりなもの」と言っている。冗談ばかりで人を驚かせていた男が新興宗教の教祖になってしまうのだが,その間,親友である「私」もすっかりハメられてしまうといった,確かに風変わりな作品ではある。
しかし,トリック云々ということを話題にするような作品では無く,木々高太郎が「乱歩の作品の中で一級の傑作」と褒めているのは釈然としない。物忘れの大家で空気のようにたよりない男といわれ「空気男」の呼ばれている「私」のキャラは好きなんだけれどね。
コメント
コメントは受け付けていません。
けれど、作品のバランスが抜群だと思う。
真の文芸という感じがある。
ああー小林君と結婚したいほど好きx2