岩波文庫の新刊「新島襄の手紙」を読む。
岩波文庫では50年ほど前に出た「新島襄書簡集」が馴染み深く,私の書架にもかなりくたびれた姿で並んでいる。旧版は事実上個人編集で恣意的な削除があったので,それを批判検討して,新たにセレクトした96通により本書を構成したとのこと。最近の新島研究の進歩といわれてもよくわからないが,少なくとも大変読みやすくは,なっている。
幕末1864年に密出国し渡米した新島襄の手紙が,日本の家族にどのように届けられたのか不思議に思えるが,その内容は新しい文明国米国での見聞を生き生きと伝えていて面白い。米国遊学中,ホストファミリーだった家族に宛てた英文の手紙も訳されており,当時の学生生活の一片を知ることができる。