戦争と平和(2)(トルストイ)

戦争と平和〈2〉岩波文庫の新刊「戦争と平和」(2)(トルストイ)を読む。
新訳第2巻は,いよいよ戦火が激しくなり,行方不明となったアンドレイの突然の帰国と妻の死。政略にはまったピエールの結婚生活が描かれている。
ロシアの小説といえば,登場人物の名前の呼び方が何通りかあり,だれが同一人物なのか混乱する場合もあるが,本書では訳者の注記にあるとおり,「本書では,物語の理解を容易にするため,登場人物名は最も簡素な形に統一した。ロシア人名の長い正称や外国語表記の愛称は省き,既婚女性の姓は原則として姓の男性形で表記した」との方針がとられている。
また,巻末の「戦争と平和」年表も巧くまとめられていて,理解に役立つ。全体として,旧訳より読みやすくなっていると思う。ただ,旧訳を初めて読んでから30年経っているわけで,馴染みもあるし,読みやすさ=感動の深さ,と素直に思えないのは,やはりひねくれて歳とったせいかしら。