曖昧の七つの型(エンプソン)

曖昧の七つの型 (上)岩波文庫の新刊「曖昧の七つの型」(上)(エンプソン,岩崎宗治訳)を読む。
著者エンプソンは,1906年英国生まれ。ケンブリッジで数学と文学を学び,1931年来日。戦前の文理大,東大で教えた後,37年北京大学に招聘されたが,日中戦争が激しくなり,中国南部で避難生活を送った。戦後も再び北京に赴き,中華人民共和国の誕生も目撃した。
本書は,「一つの表現に対して幾つかの可能な反応の余地があるとき,言葉の持つそのようなニュアンス」を曖昧ambiguityと呼び,その曖昧にこそ詩の美しさがあるという主張を表したもの。(上)では,1~3の型を論じる。
第1の型は,一つの言葉や文章の構造が同時に幾つかの意味を持つことによる効果。第2は,複数の意味が一つの意味の中に集約される効果,第3は寓意のように直接関係のなさそうな2つの意味が同時に与えられている効果。それぞれシェイクスピアなどから例を挙げて説明されているから,落ち着いて読んでいけばそれなりにわかるのだが,読みやすくはないので,なかなか読み続けるのに根気がいる。
本書は1985年研究社出版より同訳者により刊行されており,現在絶版。