岩波文庫の新刊「山上宗二記 付茶話指月集」を読む。
利休が秀吉のために自害したことは知られているが,その弟子,山上宗二(やまのうえそうじ 1544-90)も秀吉によって殺されている。鼻と耳を削がれて・・・。宗二はとても押しの強い人物で敵が多かったらしく,信長の死後に仕えた秀吉の不興をかったようだ。
そのような人だけに,茶の湯にたいしても,ひたむき・頑固。本書は,壷や茶碗,花入などの茶道具,床の間に掛ける墨蹟や画幅に関する蘊蓄はもとより,茶人としての心得などをまとめており,利休茶道の神髄をつたえる秘伝書となっている。
後半の「茶話指月集」は,利休没後100年を経て編纂された,茶人のエピソード集。ほかに,「山上宗二記」の翻刻も付いている。
ということで,面白そうな内容なのだが,現代語訳ではないので,注に頼っても素人には読みにくい。別に参考図書として,宗二研究で知られる桑田忠親の「茶道の歴史」(講談社学術文庫)がお薦め。