いわゆるエロ漫画雑誌というのは,どういう人が作っているのだろう,ふつうの出版社や編集者とは違うようだが・・・という疑問に答えてくれる本。
ちくま文庫の新刊「出版業界最底辺日記」の著者塩山芳明氏は,エロ漫画下請け編集者。いわゆる編集プロダクションを主宰して,出版社から1冊の漫画本の企画,編集,経理まで,すべてをほとんど一人で請け負っているのだ。本書は10年以上にわたるそんな編集者の日常を描いた日記で,大手出版社の横暴,いい加減な著者,変人だらけの編集者など,業界内部事情を実名満載で露骨にさらけ出している。
もっとも,ここに出てくる漫画家は,エロ漫画ファンにはおなじみなのかもしれないが,私など名前を聞いたことのない人ばかり。そんな漫画家たちの驚異のやっつけ仕事ぶりも笑えるし,それをなだめすかして,どうにか発行を続ける編集者も滑稽かつ涙ぐましい存在だ。
出版界のしくみが裏側からわかる本として,漫画ファン以外にもお薦め。