新編 百花譜百選(木下杢太郎)

新編百花譜百選岩波文庫の新刊,「創刊80年」オレンジ帯付き8冊が書店にならんだ。そのうち,まず「新編 百花譜百選」(木下杢太郎)を購入。オールカラーで1575円也。
本書は,医師で作家の木下杢太郎が戦時中に描いた植物図譜872点のうち,100点を収録したもの。見開きで,右ページには植物名と日付,ときには簡単な日記,左ページには洋罫紙に彩色された図。巻末には図譜一覧有り。
『染井吉野-わかかった時分桜の花は美しいと思ひ,そのうちでも染井吉野が尤もあはれ深いと感じた。中春の夕方の気分といふものは名状しがたいものであった。今年は春が寒くて花がわるいが,今日伝研でつくづくと之を眺めて見ても殆ど感興らしいものが涌かない。心にもまた四季が有る』(昭和18年4月12日)
一言で言えば渋い,静謐とした印象を受ける画集だが,戦火激しい中,病身ながら東京に踏みとどまり描き続けた杢太郎の決意,執念が感じられ,読者にして襟を正さざるをえない気分となる。

コメント

  1. ご無沙汰です。といっても、覚えていらっしゃらないと思いますが、また、HN自体これだったかどうかわかりません。同じ藤沢に住んでおります者です。カラーの岩波文庫って初めてですよね?

  2. ご無沙汰です。最近は忙しくて読書の方もサボりがちです。オールカラーっていうのは初めてだと思います。

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